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2019 Aug. ~ 2021 Jul.

一昨年仕事がガラリと変わってそろそろ丸2年になる。
異動直後はあまりの放置っぷりに半分泣いていたが、時がたつのは早い。

 1年目は、年が近くてバチバチにできる先輩を見ながら「仕事ができる」とはどういうことかを解釈した。過去にあった仕事をなぞるタイプではなく、今まで発生していなかった未知の仕事に挑むときの基本的なスタンスのようなものをかなり参考にさせてもらった。一緒に仕事をしたのは1年だったが、本当に彼の所作をみて学んだところは大きい。

 2年目は、後輩に教える係を担った。一番下の新人に新しい後輩を教えさせるのがポリシーである、とは課長の談だが、ただの人員不足だと思う。後輩は一度教えたことは大概覚えるし、わたしが忘れがちな細かい動作も抜けずにやるし、作業の面ではかなり優秀だった。ただ、ちょっと気軽に質問に答えすぎたと思うところが一つ(自分で確認するより聞くほうが早くて確実な状態にしてしまったので)、問題に直面した時に、不可能なのでやらないという選択肢を取りがちだったのがもう一つ(可能にする方法を考えてほしかったので)、一年かかわった中ではすこし気がかりである。

 もともと、私も後者の後輩タイプだった。いや、むしろ後輩ほど作業の正確性はなかった。前の部署では、一回り上のOJTのアシスタントのような働きをしており、雑用をこなしてOJTの時間を増やすことが使命だと思って動いていた。仕事上で「あなたはどうしたいの」と言われても、特に意見なんてなかったし、そんなもの私に意見を聞くより優秀な誰かが考えた通りに実験するのが一番いいだろう、と思っていた。

 今の課に移ってきて、私以外に私の仕事の主導権を握る人がいなくなった。仕事が作業内容ではなく、突然最終目標で与えられるようになったのだ。過去の似たような仕事の資料を参考にあさってみても、上の人同士で揉めたような噂しか聞かないような類の仕事を、新人の顔で持っていく必要があったのは参った。

 完全に補助業務をやっているような環境から、データのまとめ方も一意に定まっていない仕事を振られ、次にやる作業も不明瞭な中、常に自分自身の意思決定が求められるようになって初めて、

"自分で何とかしようと思わない限り、仕事は片付かない"

というのを学んだ。そこから、

"自分で何とかしようと思えば、仕事は意外と片付く"

というのにスタンスが変化してからは、積極的に仕事にかかわれるようになった。積極的な意思決定を意識するようになったのもこのころからだ。正解とする先の資料に合わせてデータを取るのではなく、問題解決へのアプローチを考えて実験を組み立て、説得力のある資料を作ればよい。今考えれば当たり前のことだが、全編パクリだった仕事を少しずつオリジナルでできるようになった。

 上記に際して、人への相談の仕方も変わった。「次はどうすればいいですか」というような作業指示を仰ぐようなものではなく、目的をなすための手段として、足りない部分を埋められるような方法を聞くようになった。穴のある部分の評価の方法とか、効果的なデータのまとめ方とか。目的地もわからない状態で、どの方角に何歩行ったらいいですか~!?と分岐のたびに聞いていたのが、最短経路にある落とし穴の位置と深さを把握して、その埋め方を聞くくらい、ピントを合わせられるようになった。

 自分の言いたいことをいうために必要な部品を集められるようになってからは、むしろ指示をもらうことをうっとおしく思うようにすらなった。(助言を素直に聞けないのはいいとは言えないところもあるけどね!)完成系を提示していないのに部品を勧められるような歯がゆさがある。

 上記を意識するようになって、謝る回数が減ったのもちょっとした変化だった。「誰かの意思」をくみ取って仕事をしているときは、ちょっとでも迷惑をかけたかなと感じるたびに謝っていたが、ただの質問だったり、懸念事項だったりするものに対してはそれに答えればなんら問題なく、それは必要なコミュニケーションの一部だ。しばらく道具を借りたりとか、自分の意思で誰かの仕事に干渉することも怖くなくなった。

 逆に誰かの非を責めたりするようなこともなくなった。仕事上必要なのはお気持ち表明ではなく問題解決なのだ。例えば"職務遂行に足りない情報"があったとして、「情報が足りません」では情報が足りない。「この情報が必要です」というのを伝えて初めて、双方の仕事が成り立つのである。サラリーマンたるもの、共通の会社での利益を目指して仕事をする必要がある。

 まぁ、こちらがそういう意識でいてもお気持ちを表明してくるクソ野郎はいるので、その年齢までその調子でよく仕事続けてますねと思う他ないのだが、、、

 といった具合で、この2年は目標と反省を大いに得た期間であった。

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