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夜と寝る


眠い。

今日は昼まで寝てたのになぜか眠い。

睡眠時間が長くても眠い理由はきっとたくさんある。

枕が合ってないから疲れがとれてないとか、
運動不足とか、
代謝が悪いとか、
夢の中で悪者と死闘を繰り広げていたから、とか。


しっかり寝ても、
そんなに寝なくても、
どっちにしろ眠いなら寝たくないな、と思う。

そう遠くない未来で、
飲むだけで睡眠をとったことになれるサプリが開発されたら、毎日摂取する。

寝るのが嫌いなわけではないのだけど、
特別好きではない。

なんなら、
寝ないと脳みそと身体がちゃんと動かないから仕方なく寝ている、
という感覚すらある。

睡眠は、生きるための「作業」だ。


ところで、
睡眠欲は人間の一次的欲求のうちの1つで、
その中の性欲と食欲と合わせて「3大欲求」なんていったりする。

生きるため、繁栄するために必要なことを欲するようになってるわけで。

だから、
食事もセックスも「作業」と捉えることはできる。
栄養を外部から取り込む「作業」。
子孫を残す「作業」。


ただこの2つに関しては、
「作業」だなんて考えたことはない。

じゃあなぜ睡眠だけ煩わしいと感じてしまうかといったら、
睡眠してる間は意識がないから、なんだよな。


ご飯食べてるときは「美味しいなあ」と思うし、
セックスしてるときは「気持ちいいなあ」と思うけど、
寝ているときに「休んでるなあ」という実感はない。

ゲームのHPみたいに、
寝ているときに体力ゲージが回復しているのが目に見えたら納得できるのに。

もしくは頭の中に映画を何本かダウンロードしておいて、
寝ている間に意識の中で鑑賞できたらいいのに。
なんて妄想をしているともっと眠れない。


しかたないので睡眠を好きになることにした。


夜と寝ることにした。

一人でやろうとするからダメだった。
眠ろうとするところにはいつも夜がいた。

夜は昼が教えてくれないことをたくさん気づかせてくれる。

夜の音は意外と騒がしい。
実家では虫がなくし風は吹くし、
東京では酔っ払いが騒いでタクシーが走る。

夜の色は眩しい。
青白い世界で、昼よりも光に目を奪われる。
月の光は実は太陽のそれよりも温かいし、
冷蔵庫に貼った派手なシールもおとなしく見える。

夜はいつでも別人みたいだった。
今まで自分とすごく離れたものだと思っていた、そんな夜の空気と一緒に眠ることにした。

今夜はどんな君ですか。

夜と寝る。