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コーヒーの淹れ方をお客に教わるcafe店主

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老後は儲けや家賃を気にしないcafeでも出来たらなんて人類皆が思っている。

僕はcafeへの憧れは強い方だったけど、特別コーヒーにこだわりがあるわけでもない。

モーニングを開始して早々に群ようこのパンとスープと猫日和という作品の世界観に魅了され。


比較的滋養に良い朝食セットを作ることにやっきになり、コーヒーを完全に後回しにしてしまった。

僕自身が普段は手挽きのカルディ豆で十分な男なので

できるだけ安い豆を探して近所を訪ね、最終的には業務イセタン(隠語)の100g100円以下の豆に落ち着いた。


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長年使っている手動のミルでゴリゴリと回して

お客も目の前でゴリゴリされていると、気分が良いようで

インスタントや粉状態の豆を使わないだけマシさ。

ゴリゴリしてるのだから安豆でも良いだろうと思っていた。

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腎臓に石を貯めるほどコーヒーを愛する常連のケモンさんが

「せっかく豆を挽いているのだから温度と淹れ方でコーヒーはだいぶ変わるよ」

という専門店ではきっと常識であろう基本的なことを教えてくれた。

沸騰したばかりのお湯を別のポットに全て注ぎ、

最初に沸かした空のポットを水でさっと流し温度を下げ、

再び別ポットから元のポットにお湯を戻す。

お湯を移し替える度に10℃きっかり下がり、100度のお湯が80度前後まで下がっている。

「このお湯で淹れてごらん。

すると同じ豆でも、苦みが落ち着いて飲みやすくなってるから。

僕は普段75度ぐらいまで下げて飲んでるよ。」

僕はブクブクに沸騰したばかりのお湯をささっと注いでいた。

確かにケモンさんが淹れたコーヒーは余計な苦みが無い感じがする。

「あっ...ちなみに良い豆は淹れ方で台無しになることはあっても、不味いコーヒー豆はどんな淹れ方しても不味いままだって、最近色々と教えてくれるコーヒー豆屋さんが言ってたよ」

私はそれを聞いてギクリとした。

(cafeがコーヒーに美味しさを求めないでどうする??)

今の豆ではどれだけ淹れ方の修行しても...味の違いが判らん。

おいしい朝ごはんの締めが不味いコーヒーだったら...

それが毎日だったら...素敵なモーニングにたどり着けない。

もっと豆を知らにゃいかん。

コーヒーを学ばねば。

それが1か月経って決意したことである。


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その後、専門店で買う豆の平均価格が業務イセタンの7倍、8倍以上もある事実を知り、赤字街道の出発点へたどり着くcafeの店主。

優雅な老後は死ぬ間際までやって来ないのではないか…

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