未来

どんな未来を想い描きますか?

斉藤幸平氏の『人新世の「資本論」』を完読。本著は自分自身の考察の中で欠けていたピースがかなり多く含まれており、非常に参考になった。

カール・マルクスを若かりし時から亡くなる間際まで、思想の転回を含めて論じており、資本論にも新たな解釈が加えられている。その中で、資本主義に立ち向かう必要性や、その具体的方法が論じられていた。

漠然と感じていた資本主義の限界と、コミュニズムの到来。自分の中では富の再分配が必要だとは感じていたものの、価値と使用価値の乖離については考えられていなかった。洋服なら寒さを防ぐなど使用価値は同じでも、ブランドロゴがあれば資本的な価値が異なる。食べ物もエネルギー源になることが使用価値なら、そこに○○産限定食材になると価値が高まる。

価値は希少性から生まれており、希少性がコモンの商品化に繋がり資本主義を支ていることも盲点だった。水は昔は公共財だったのに、今やペットボトルの水は当たり前になってしまった。確かにビジネスの世界では、資本主義の中で高付加価値化ためにはVRIOが大事だと習ったし、自分も教えたこともある。常識と思っていた考えも、本著で視点を変えることができ、大きな気付きとなった。

資本主義は物質的な豊かさをもたらすと信じられているが、結果的には貧富の格差は広がり続け、依然として貧困に喘ぐ人々は多く存在する。そんな中で、フードロスを始め、不要な商品が莫大に廃棄され、廃棄される物を効率的に作るというエネルギーロスにもつながり、環境は悪化していく。

最近、子供が出来てしまったことに罪悪感を感じていた。この前面会した時にグレタの話をして、そこから環境の話などもしたけど、大人として恥ずべきことが多いなと感じた。自分は資本主義の中で自由な生活を謳歌してきたこと、今もその仕組みの中で働いていること、それは様々な犠牲をもとに成り立つこと、結果キレイな地球が残せないかもしれないこと、彼らの世代も資本主義の競争で苦しませてしまうかもしれないこと。

ただ、本著のように、コミュニズム到来による人と人の繋がりや共生があって、みんなで地球を守るという壮大なビジョンがあれば、あながち悪くない未来になるかもしれない。一人一人の小さな一歩が世界を救う。そんな希望も芽生えるような一冊だった。

日々の暮らしであくせくしている人はこの本を手に取る可能性は低いだろうし、いくら良書でもタダにはならず、資本主義の中では価格がつくから、わざわざ買う人はもっと少ないだろう。だからこそ、こうやってnoteに書くことで、少しでも広められたらいいかなと思う。自分ができる小さな一歩を進めつつ、少しでも良い未来にしていければと思う。


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