ハラスメント

どんなハラスメントを見かけますか?

辻村深月さん著書『闇祓』を完読。著者の作品は、いじめ、疎外、善悪などを、行う側と被る側の心情で描写したものが多い。本著もその流れを組み込み、ハラスメントを題材にした作品だった。一方で、今回は強者⇒弱者という単純なハラスメントの構図ではなく、人の心に影響を与えていく手段やプロセスが様々な形で展開されており、ここは読みごたえがあった部分である。ホラーを交えたアクション的な描写も組み込まれており、新しさを感じた部分もあって、楽しく読み進めることができた。

ハラスメントは、英語では苦しめること、悩ませること、迷惑などの意味があり、日本では嫌がらせやイジメとして用いられることが多い。多様性が尊重される社会の中で、多様な価値観を持つ個々が存在しているため、ある特定の出来事/言葉/態度に対しての解釈や感じ方が多様になることもまた必然である。また、情報化社会の中で、ハラスメントの事例は山ほど存在するため、自身が受けた行為に対してハラスメントに該当するかどうかを確認することも容易になっている。冗談で、「これパワハラじゃない(笑)?」話している会話もよく聞くことがあるけれど、当人達がどこまで冗談でどこまで本気なのか分からないようなことも多いと感じる。

こういった社会の中では、誰でも気付かぬうちにハラスメントに該当する行為をしてしまうことがある。一方で、ハラスメントかどうかは受け手の解釈で決まるため、双方の関係性というものが非常に重要である。だからこそ日頃から、対話を通して相手の価値観を理解し認め、信頼関係を築いておくことが重要である。対話する余裕がない場合でも、せめて挨拶だけでもするなど、相手を認める行動を増やしていくことが大事だ。

生きていく上ではコンフリクトが生じることもあるし、躾のために部下や子供を叱る必要もある。自身の価値観が脅かされる時は、時には戦う姿勢を示す必要もあるかもしれない。そんな時、ハラスメントとして受け取られてしまうのか、人生をより良く生きるためのキッカケや学びにしていけるのか。それは日常の中でのちょっとしたことの積み重ねなんだろうなと感じつつ、一人一人との関係を大切にしながら、丁寧に人間関係を構築していけたらと思った次第である。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?