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心象空間 エッセイ・小説

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エッセイは日常の出来事に触れ感じたことを心のままに、書き連ねています。 小説は頭の中のモヤモヤを言葉にする作業です。
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2022年9月の記事一覧

行方不明になった右手

行方不明になった右手

今朝、妙な感覚を得た。

手が、ない。

右手で自分に毛布をかけようと思ったその手が、行方不明になったのである。

どこに行った?

起きて間もない私はぼんやりしつつ、スマホを無くしたとき自宅電話から音を鳴らしてスマホを見つけたやり方で、指をパラパラ動かして音がしたらいいなと思いつつ指令を出した。

指よ、動け。

頭の上の方で、畳の上に小さなビー玉がたくさん転がるようなパラパラ音がした。

指が

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誰もがタイムマシンを持っている

誰もがタイムマシンを持っている

過去・未来を自由に行き来できるタイムマシン。
私は、この不思議なアイテムを誰もが持っていると思っている。

未来へは、予知夢という形で。
過去へは、記憶という形で。

私は今朝、過去へ行ってきた。
時は1997年。

父はまだ、生きていた。

朝から二人は、喧嘩をしている。

私「早く会社行ったら?」

父「うん。もう少しテレビを見て茶を飲んでから」

私「早く」

父「まだだよ」

私「もう終わ

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