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笑えなかった私が自分らしい笑顔でいられる理由

大学生の時、4年間結婚式場でアルバイトをしていた時の話。
私は当時の同僚に、生涯忘れられない言葉をもらいました。

「なっちゃんの笑顔にはパワーがあるよね」

私はこの言葉をもらった時、心底驚きました。


笑えない私と母の言葉

私は顔のパーツが大きいんですよね。
目、鼻、とりわけ口と歯が大きい。

だからだと思うんです。
母は小さい頃の私によく言っていました。

「大きい口を開けて笑わないの」

大きな口が目立つことの何がいけなかったのか今でもよく分からないですし、母自身にこのエピソードを話したこともありますが、本人も言ったことさえ覚えてないそうです。

けれど、小さな私にとって、それは結構衝撃の言葉だったのでしょう。

だから私は、中学生か高校生くらいまで、上手く笑えない子でした。

小学校高学年の頃に『プリント倶楽部』というものが世の中に出回り、友だちと撮りに行ってはノートにペタペタと貼っていましたが、その時の顔はいつも口が「へ」の字をしていました。

自分としてはニコリと笑っているつもりだったのですが、どうしても口角が下がってしまっていたんです。

あの時の母の言葉が私から本来の笑顔を奪っていたのでしょう。
本人は何気なく言った言葉なのに…。
言葉って、恐ろしいですよね。

変わりたいと願ったあのとき

自分はなんでみんなのように可愛く笑えないのかな?

思春期を迎えた私は、友人と自分との違いを考えていました。
そして、いつだったか定かではないのですが(中学生か高校生のときだと思います)、自ら「笑顔」の練習を始めました。

帰宅して、鏡に向かって、ニコッ。

もちろん、最初はうまくいきません。
今まで使ってこなかった筋肉は、そんなに簡単に扱えません。

でも、次第に口角が上がるようになり、なんとか普通の笑顔、プリクラを撮っても困ったように見えない程度の笑顔の表情をつくれるようになりました。

あの時、今の自分を変えたい!と思い、鏡に向かうことをしていなければ、もしかしたら今、違う人生を歩いていたかもしれません。

それくらい、笑顔って生きていく上でとても大切なものですよね。

私の気持ちを180度変えた言葉

大学生になり、結婚式場のアルバイトを始めました。

結婚式という場所は、幸せに包まれた場所。
新郎新婦もゲストも、スタッフもみんな笑顔です。

朝礼ではスタッフで向き合いながら、「スマ~イル!」と言って笑顔のチェックもします。
疲れた時はお互いに、「笑顔~!」と言って声を掛け合います。

そんな笑顔溢れる職場で働いていた私ですが、前述したような過去があり、とても自分の笑顔に自信なんてもてません。

努力でなんとか平均点までもっていった。
その程度の笑顔。
周囲を不快にさせない程度、と思っていました。

そんな時。
同僚の男性スタッフがあの言葉をくれたんです。

「なっちゃんの笑顔にはパワーがあるよね」

え?!そう?!
私の笑顔が?!
あのへの字の顔しか出来なかった私の?!

本当にもう、めちゃくちゃ驚きました…!
微塵もそんな風に思ったことはなかったんですから。

でも、そう言ってもらえて。
私の考えは180度変わりました。

私の武器は、この「笑顔」だ。

そう思うようになりました。
それから就職して社員になっても、「笑顔」の大切さを伝え続けました。

笑顔でいると、前より少し自分に自信が持てました。
弱い自分も、少しだけ強い自分になれました。

人は、気持ちが伴っていなくても、口角をあげてニセの笑顔をつくるだけでも、脳が幸せだと錯覚するそうです。
心が泣き叫んでいる時にそれを押し殺してまで笑顔でいるべき、とは思いませんが、少し元気がないな、って時は、ほんの少し深呼吸をして、口角をきゅっと上げると、ちょっぴり元気が出るかもしれません。

忘れた笑顔は宝物が届けてくれた

ブライダルの仕事を辞めて内勤になると、笑顔の私は途端いなくなりました。

毎日パソコンに向かう日々。
人と話すことも減っていたし、「笑顔減ったなぁ~」と常々思っていました。

でも、それを変えようとも思っていませんでした。
人とそれほど関わり合いたいとも思っていなかったからでしょう。
そのうち、「私の武器は笑顔だ!」と思っていた時の気持ちも、心のどこかに消えて見えなくなりました。

そんな私に毎日の笑顔を取り戻させてくれたのは、かけがえのない宝物である息子です。

子どもって、本当に純粋な笑顔を向けてくれますよね。

最近しゃべるようになったので、
「かあしゃ~ん!」
と言いながらかけてきて、足元にぎゅっとされたらもうイチコロです。

息子のことで、泣いたり怒ったり、イライラして喚いたり。
いろいろな負の感情が荒波のように自分の中を通り過ぎていくけれど、何より愛おしい、可愛いという感情が私に笑顔をつくらせます。
家族で笑いあっている時間が一番幸せです。

そして、人生の振り返りを通して思い出した大切な言葉。
笑顔が私を強くしてくれたこと。
私の武器だったこと。

自分自身の人生を振り返るだけで、こんなにも大切なものがたくさん落ちているのだと、日々驚かされます。

きっと、世の中の人やモノ、サービス、商品。
それが生まれた原点、ワケ。
振り返るとたくさんのキラキラしたものが落ちているんでしょうね。

それをひとつずつ大切に拾い集めて、見えるカタチにすることができれば、きっと誰かにとってもかけがえのないものになるのではないでしょうか。

「スマ~イル!」と言っていた私は、歳をとってそれなりにいろんな経験をして、少しは図太くなっているでしょう。
あの頃の自分よりきっと今の方が、もっと自分らしいスマイルでいれていると思います。

だから、いろんな回り道をして今日にたどり着いていることも、今の私のスマイルをつくっているひとつの要素なんです。
そんな「笑顔」のお話は、ここまで。

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