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蚊帳の中10 第3章乃五  世界の中の私 私の中の世界



私の世界


世界と私は、数年まで私の中で別々の世界でした。
私は私の世界で生きていました。両親がいて、妹たちがいて、施設で生活した経験があり、家庭で暮らし、支援してくれる人たちや障害のある先人の人たちと地域で自立生活をはじめ、東京に越して、仕事を得ました。恋愛と同性と別れを経験し、住む家もいくつか変えました。霊的真理を教えてくださる師と出会い、ヒーリングスクールに受け入れてもらいました。人生が少しずつ変わっていく中で、それでもずっと、私は私だけの世界で生きていました。
私だけの世界は、私の価値観だけで物事がみえるので、わかりやすくもあり、居心地のいいものでもありました。正しいことも間違っていることも、自分ですべて決めていました。世の中は正しいことと間違っていることの二つでできていて、私はいつも正しい方に進みたいと思っていました。正しさは何かということを理解していると思っていました。
そこが間違っていたのです。
それはあくまで私の中の視点で見た世界でした。私がいう正しさは、「こうあらねばならない」という固定観念であり、理想であるだけで、自分の経験に基づいてはいませんでした。私の判断基準は、推測から導き出すものばかりだったのです。
推測がすべて悪いとは思わないのですが、経験に基づかない推測は、合っていないことが多いようです。私は自分の思いだけで世界を判断していたのだと思います。
例えば、目の前にいる人のことも、その人がどういう考えの持ち主かよく知らないのに、この人はこの前こんなことを言っていたからこういう人だ、と思い込むことが多かったと思います。本人に聞いたらそうではないかも知れないのに、会話もしないで推測ばかりしていました。
そして自分をいつも守ろうとしていました。いつも物事を先回りして、こう言われたらこう返そう、と用意周到で人に会いに行きました。
私は仕事ができる、いい人と見られていたいだけだったのです。自分はこんなに考えていて、よく働ける人だと、周りの人に思ってもらうことが、勝ち取りたい安心感でした。そう思われている証拠をいつも集めていたいだけだったのです。
なので、目の前の人になんでも話せました。知ってもらえばそれで良かったからです。
周りの人の対応が悪ければ、意見を言わなければ変わらないと思い、自分の意見を積極的に伝えていました。時には喧嘩ごしになっても、それが私のするべきことだと思って疑いませんでした。
障害があることで不利益を被ること、不公平な世の中に、いつも怒っていました。そして、世界が平和にならないことにいつも恐怖を感じて、不安がいっぱいになっていました。

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