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~第119回~ 「東游の話」

8月1日の例祭には畏き辺りより勅使の御差遣、また御付きの楽師により「東游(あずまあそび)」の御奉奏があります。

この祭典は一般には非公開のものですが、今回はこの「東游」について説明します。 古来、日本に伝わる歌舞を起源とし、大陸から渡来した楽舞の影響を受けながら成立した日本独自の歌と舞を「国風歌舞(くにぶりのうたまい)」と言います。

全国各地に由来するものや『古事記』『日本書紀』の伝承に由来するものなどがあります。

701年の大宝令の制定で設置された「雅楽寮(うたまいのつかさ)」でも学ばれましたが、その後は衰退し、応仁の乱から戦国時代に入ると組織としての伝承が途絶えます。

しかし、舞の部分は残っており葵祭や若宮御祭で奉奏されていたため、江戸時代に入ってから再度、組曲として復興されました。

そのため、現在伝わっている国風歌舞は江戸時代以降のものです。

この時、雅楽の伝承組織「三方楽所(さんぽうがくそ)」も制度化されました。 その後、明治時代に入り京都から東京に首都が移った際、三方楽所の楽人の一部と江戸幕府にいた楽人の一部とで宮中に仕える事となり、現在の宮内庁の楽部(宮内庁式部職楽部)の基となりました。 さて、話を「東游」に戻しましょう。

東游はその国風歌舞のひとつで、東国地方の風俗歌に由来した歌舞です。

江戸時代に復活して以来、宮中行事で奏されますが、氷川神社、賀茂神社、春日大社等諸神社の祭典に奉奏されます。 8月1日の例祭は、氷川神社が護る大宮の地に、日本古来の歌舞の音色が響きわたります。

陛下の思し召しにより東游を毎年奉奏されるのは全国で当社だけとなります。

当日は連綿と続く天皇陛下の大御心を感じる日でもあります。


〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕  
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