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~第39回~「北澤楽天と一の鳥居の話」

武蔵一宮氷川神社は古来、地域や崇敬者と共に歴史を歩んでまいりました。
例えば大宮公園。
古くは、大宮公園一帯は氷川神社の境内地でしたが、明治18年(1885年)の開園以来、特に明治末期から昭和初期にかけては東京近郊の行楽地として多くの来園者が訪れ、現在も地域の方を中心に多くの方々が訪れる公園です。

明治から昭和といえば、同時代を代表する漫画家・北澤楽天(1876年~1955年)をご存じでしょうか。
日本初の職業漫画家として知られる楽天は大宮宿の旧家・北澤家に生まれ、福沢諭吉が創刊した新聞「時事新報」で記事を分かりやすく伝えるために絵画部員として新聞に絵を描きました。
その後、日本初のカラー漫画雑誌「東京パック」に漫画を描き、漫画家を職業として成功させた人といわれています。

その楽天は氷川神社の崇敬者でもあり、昭和30年(1955年)、「一の鳥居修営記念手拭原図」を作成しております。
これは大正期の関東大震災で損傷した一の鳥居を同年に立て替えた際の、宮大工による作業風景を描いたものです。
漫画家が歴史資料に相当する絵画を後世に残すというのは、漫画が生活に浸透した現代社会を先駆ける取組みだったかもしれませんね。

現在、新型コロナウィルス感染症によって未曽有の時代を迎えておりますが、先人も関東大震災という未曽有の大震災を経験しております。
先人が力を合わせ復興させたように、私たちも協力しあいながら未曾有の時代を乗り越えてまいりましょう。

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〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕

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