見出し画像

タイラー・ミッチェル『I Can Make You Feel Good』/目は旅をする061(写真の未来形)

タイラー・ミッチェル『I Can Make You Feel Good』(Prestel刊)

新しい写真の時代は、新しい才能(ユース)が作る。これは残酷なまでに、真実だ。

またもう一つの真実は、残酷なまでに、時代がその才能の出現を選ぶということだ。写真家や写真が生き残れるかは、ますます苛烈な闘いになるだろう。

コロナウィルスが全地球をマヒに陥れたり、ロシアのプーチンが過去のロシアの栄光という妄想にとらわれウクライナ侵略戦争を始めたり、それらカタストロフは可能性として議論に上がっていたとしても、「まさか本当に」それが起きるとは、誰一人、いい当てられなかった。

AIをめぐる狂騒も、これからどんな悲惨が待っているか。誰もが甘く見ているのかも知れない。我々は、自らが気づくよりもはるかに高速な流動性の時代に生きている。
写真はどんな時代においても、時代の「関数」であるから、時代の矛盾にダイブしそこねた瞬間に、そいつは「古くさい」ものに転落して、力を失効する。

タイラー・ミッチェルは、新しい写真の才能だ。1995年生まれだから今年28歳。彼が脚光を浴びたのは、5年前の23歳の時。
あえていうが、彼はアトランタ生まれの黒人で、そうでなければ、これほどまでに若くして時代の写真家としてクローズアップされなかったろう。

ここから先は

2,100字 / 6画像
後藤繁雄おすすめの写真集についての記事を月に2~3本ずつ投稿します。アーカイブも閲覧できるようになりますので、ご購読よろしくお願いいたします。

ヴィジュアルの旅は、大きな快楽を、与えてくれるし、時には長編小説以上に、人生についてのヒントを与えてくれます。 このマガジン「目は旅をす…

応援よろしくね~