君たちはまだ小説家になろうを知らない

2020年6月4日 19:58

小説家になろう。みなさん知ってますか？誰でも簡単に書いた文章を「小説」として投稿できるサイトです。そこで人気を得ることで出版社に声をかけられ、ホントの小説家になる人もいるようです。アニメ化もありがち。

最近だと『Re:ゼロから始める異世界生活』なんて有名ですね。

筆者は10年近くもそのサイトに訪れている、怪獣です。今回はその怪獣の話を聞いてください。

1.なろう系とは

「小説家になろう」というサイトに投稿される小説は一定のパターンがあり、「なろう系」と呼ばれています。その定義については色々ありますが、本業が医者で、かつ実際にそこで成功して本を出している人の言葉を引用します。

「どの作品もまるで金太郎飴のように、“平凡”な主人公が“異世界転生”をして文明度の劣る世界で“現代知識”をひけらかし“ハーレムを築く”という、非常に明確な「願望充足型」作品の一ジャンル」津田彷徨『現代ビジネス』講談社、2019年4月19日。

はたして意味が伝わっていますでしょうか？

つまり、”ぼくのかんがえたさいきょうのしょうせつ”が多く投稿されているということです。「誰でも気軽に投稿できる」とはそういうことです。

散々言っておりますが、まぁ、とにかく様子を見てみましょう。「小説家になろう」にはランキング機能がありまして、そこをチェックすると今一番アツい小説がわかる、という仕組みになっています。2020/06/04現在の四半期総合ランキングはこちら！ドン！

なげぇ！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！

情報量が多すぎる。なんやこれ。全部ファンタジーだし。そういう流行りか？これだから令和生まれは（ため息）。

しかし少し待って欲しい。この小説たちは、「ランキング」という競争のなかで生き残っている選ばれし5つの小説なのだ。つまり、読者に求められているものというのは、コレ。コレが正解。

「小説家になろう」界では、『人間失格』も『銀河鉄道の夜』も『カラマーゾフの兄弟』もダメ。そもそも読んでもらえないだろう。『吾輩は猫である』ならギリギリいけるかも。

ネットで気軽に読み捨てられる、「ライトノベル」よりも軽い文章がここでは求められている。作者が悪いとか読者が悪いとかではない。そういう場なのだ。「小説家になろう」は。

そんなやべーサイト、「小説家になろう」に、なぜ自分は10年近くいるのか。なぜハマってしまったのか。答えるならば、たくさんある中で自分の好みを見つけることに快感を覚えてしまったから。誤解を恐れずに言えば、「泥の中から宝石を見つけ出す」ことにハマってしまったのだ。沼。

「誰でも気軽に投稿できる」という特徴のおかげで、それこそたくさんの作品がある。「小説家になろう」は実は宝の山だと思っている。見えづらいだけで。意外とアイディアに溢れていたりもする。責任が伴わないから、好き放題だ。良くも悪くも。

というわけで、最後に、オススメを貼って文を締めようと思う。通勤中や寝る前、暇な時間に目を通してみてね。

①太宰治、異世界転生して勇者になる　～チートの多い生涯を送って来ました～

タイトルの通り。太宰治が異世界転生して勇者になる。･･･は？

②銃剣突撃する怒れる低学歴と悩める高学歴のファンタジア

低学歴と高学歴がゲームの中で戦争をする。文章力が高いのみならず、節々にユーモアがある。あんまり評価されてないけどすごい作品だと思うマジで。以下引用

『今日は高学歴を殺せる特別な日だ』　

空前の大不況によって満足な教育を受けられない。それどころか学費すら払えない。仕事もない。そんな低学歴高校生たちが選んだ職はＥ・ＳＰＯＲＴＳ――ゲーム内で行われる疑似戦争だった。

　一方、進学に必要な“実績”を求めて高学歴高校生たちもＥ・ＳＰＯＲＴＳに参入、低学歴と高学歴の対立は深まっていく……。

③鬼人幻燈抄

和風ファンタジー。書籍化されたほか、舞台化もされている。江戸時代から平成までを股にかけ、鬼となってしまった主人公が復讐を果たす物語。小説家になろう風に味付けがされているが、面白い。めっちゃ売れてるらしい。おもしれぇなwと思って電車内で読んでいたら目の前にコレの宣伝が貼ってあってビビった。

以上、皆様もよき小説家になろうライフをお送りください！第二弾も予定しているぞ！！！

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