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同時通訳の誤解を解きたい -あなたが依頼してるそれ、「同時通訳」じゃないですよ!!-

最近、日本から訪台予定の関係者から、
立て続けに似たようなことを言われた。

A「商談会の会場で、同時通訳をお願いしたいです」
B「お客様が来られたときの挨拶は、うちの職員が同時通訳をします」
C「司会進行は日本語と中国語で、同時通訳で行います」

はっきり言いますけど、それ、
全部、「同時通訳」じゃないからね?

通訳の種類は3種類

通訳手法は、主に3種類あるのです。
この中で「同時通訳」ってのは、

話者「このたびはお招きいただきありがとうございます
 通訳者「今天非常高興能應邀參加此次開幕典禮

というように、
聞いた傍から訳していく手法が「同時通訳」。
・通訳者がヘッドフォン越しに発言者の声を聞き、その内容を即座に訳して 
 マイクなどの機材を通して話す
・聞き手はレシーバーなどをつけて通訳の声を聞く
というのが一般的。
「聞く、訳出する、聞き手に伝える」という3つ(以上)のタスクを
同時に処理しないといけないので
ものすごい集中力が必要。
必要な業務時間にあわせ複数人数で担当し、
およそ15分ごとに、通訳者の交代 を繰り返していきます。

一方で、上記の「商談会」「挨拶」「司会進行」などで

話者「このたびはお招きいただきありがとうございます」
通訳者「今天非常高興能應邀參加此次開幕典禮」
話者「日本〇〇社の△△と申します」
通訳者「我是日本〇〇公司的△△」

というように、
発言者が数文を話したあとに一旦話すことをやめ、
その間に通訳者が訳すのは 「逐次通訳」 といいます。
大事なことなんで何回も言います。
これは「逐次通訳」であって「同時通訳」ではないんです!!
実際には「逐次通訳」なのに、
やたらと「同時通訳」って言うの、
混乱のもとだからホントやめて。

「逐次通訳」では、
より正確に、ゆっくりと理解しながら訳を聞くことが可能。
そしておそらく、一番一般的な通訳方法でもある。
ただ、一般的=簡単 かというと、もちろんそんなことはない。
同時通訳よりも正確性を求められるという点で
同時通訳とはまた違った難しさがあります。

「3種類の通訳手法」のうち、最後は「ウイスパリング」。
通訳者が聞き手の側につき、近くで通訳の内容をすぐに伝えます。
聞き手は通常は1人、多くても3人ぐらい。
日本語で行われる会議に、
日本語を解さない方が少数参加している場合などに使われます。

わかりますか?「通訳」と「翻訳」の違い

「通訳」と「翻訳」の違いは、
・通訳:口頭で話される言葉を訳す
・翻訳:文字化された言葉を訳す
ということ。

パワポの資料を持ってきて
「これ日曜日までに通訳してください」とか
講演会への協力依頼で
「基調講演の方の話を翻訳してください」とかは
いずれも心の底からツッコまずにはいられないので気を付けましょう。

ご縁あってこの記事を読んでくださったみなさまにおかれましては
同時と逐次の違い、通訳と翻訳の違いを
是非とも、「頭の片隅」ではなく
「頭のど真ん中」に置いていただけると嬉しいです。

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