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今年もすごかった!魂の東京藝大卒展! (前編)

藝大の卒展に行くのが好きだ。いつも学生のその時の全力の魂をかけた作品が、どうだ!!!と展示されているのに圧倒される。作品を作る時にもがいた痕跡や心まで病みかけた体験もそのまま展示されているのも感動する。

色々行くとその藝大の特徴もわかるのだけど、藝術の東大と言われる東京藝大卒展は、特に才能がバチバチスパークしていて、学部生と院生どちらの作品も展示されているので圧倒的な質と量で、遠征して毎年行っている。
個人的に東京藝大の展示方法でいいなーと思うのは、展示に〇〇賞とか、学校の評価が入ってないので、完全に自分の好みで見られる。他の藝大は、学科賞とか大賞とか書かれてて、へーこういうのが評価されるのかーとか、評価されてるからなんかいいに違いないというバイアスが入ってしまうのが勿体無い。

毎年、藝大卒展の感想を書こうと思うけど、圧倒的な数でつい時が過ぎる。
今回は、藝大通信で卒業制作を経験したものとして、また違う見方もできたので、自分への覚書として作品をレビューしてみようと思う。
丸一日で8割位頑張ってみたけど、院生の工芸、建築、グローバルアート、などは時間切れで見れなかった…悔しいっ

まずは、京都芸大通信のグラフィックデザインを学んだものとして、デザインから。
通信で口酸っぱく言われたのは、テーマとコンセプト、アウトプットの表現方法。そして割と実学思考だからか、商品としての価値。だからか、割と売るためのブランディングや相手ありきの魅力あるデザインを目指す人が多いけど、東京藝大のデザインは、何に使うとか、どう売るとかは現実的なことは関係なく、自分の人生の経験や悩みから作品テーマが決まり、それのなんらかの解決方法としてのデザインやプロダクトが作られていると思った。特に学部生の作品はそういうプロセスがはっきりと出ていてわかりやすいものが多い気がした。

例えば、このヘルメットの作品は、自分の悩みから、自分を守って変わることができるヘルメットらしい。バイク好きっていうのもあってヘルメットのよう。

心を守るヘルメット

この作品も、自分が感じた愛を形と言葉にしたらしく、可愛いオブジェが飾ってあった。立体作品は面白く、なるほどね〜と思うものも多く、人気だった。

可愛い…
可愛いのが並んでてさらに可愛い

作品として美しく、みんなが魅了されていた作品がこれ。考え方も「あ、めっちゃデザインぽい!」とド直球。滅びゆく植物をイラストにし、グラフィックデザインとして図録と、その植物を刺繍にして飾っていた。
刺繍が繊細で美しいし、オブジェとしても売れそうだし、テキスタイルとして販売しても売れそう… クオリティの高さはピカイチで、本当に綺麗だった。

美しい…!
これぞインスタ映えなんだろうな
図録は学術的なことも書かれていてじっくり読んでみたくなる

個人的に大好きなのは、「日本人の下顎の進化に関する希望的観測」という作品。デザインは社会課題を解決するものと習ったんだけど、これは社会テーマはよくわからないけど、ひたすらにそのコンセプトと世界観に笑った!「バイター」という下顎を鍛えるアスリートがいるアリそうでない社会模様を真面目に表出していて、このパラレルワールド感はとても好きだ。バイターのインタビュー動画から、表彰状、試合のポスター、荒らしのバイターの犯罪などを再現。
作るのめっちゃ楽しかっただろうな!私も今からまた卒業制作を作り直すなら、こんなパラレルワールドを真面目に表現する作品を作ってみたいなと思った。

バイターの公式試合らしい
荒らし場バイターの犯罪の痕跡らしい
下顎に負荷をかける訓練ガムらしい


デザイン院生の展示も見に行った。院生の作品は、やや社会課題的なテーマや抽象度が高まったデザインが多かった気がする。
それでも、直接的な商品を作るのではなく、あくまで表現をこれでもか!と出していて圧巻だった。
そして、やっぱり現実ではないことを思いっきり真面目にさも現実にあるかのように作り込んだ作品が面白く感じる。

自分のコンプレックス、自分をゴリラのようだと感じる心をゴリラの女学校がさもあるかのように作り込まれていてとても面白い。入学してみたい!

ゴリラ女子学院の制服 ウッホ
入学案内

植物で作ったダイアモンドの作品。作品の横に警備員の人がいるので「マジで?本物のダイアモンドで作品作るなんて、どんなお金持ちの学生だよ」と思ったけど、実は警備員の人は作者!すっかり騙されてしもた。そしてダイアモンド自体は、植物から作ったって、すごすぎんか?

ダイアモンドは永遠の輝き!?リアルすぎるよ。

そして、面白かったし、技術の高さが圧巻だったのはこの2作品。インタラクティブなデザインは楽しい!

影絵を手で作るとそれが認識して、影絵にピッタリとあった動画が流れる。一体どうなってんだ?楽しくて可愛い作品。

これは、圧倒的な世界観と、一体どうなってるんだ?という技術。
シリコンゴムを触ったり押したりすると、それに合わせて深海生物の形が変わるという面白さ。決まったものではなく、自分の動きで自由に生物が新しくできていくのが面白い。
深海生物の美しさも素晴らしかった。

深海生物


解説。AI使っての作品らしい。ホンマすっごいな。しか出てこない。

ふう。デザインだけでこんな長くなっちゃった。
でも、思いが風化する前に書き留めておきたい。
前半終わり!
次は絵画や工芸、建築などで印象に残ったものを書いていきたい。

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