リワーク日記103 疲労しているときは、お仕事をセーブすると幸せになれる
前回の記事では疲れすぎていたので研修の話はかなりアッサリ終わらせてしまいましたが、実際には別部署の課長から「出世には興味あるか?」と真剣に聞かれて「ありません」と正直に答えてその場に気まずい空気を流してしまったり、「入社式での社長の言葉で印象に残っているものは?」と人事部長が問いかける様子があまりに大真面目すぎて思わず鼻で笑ってしまったりと、色々やらかしてしまっていた私なわけですけれども、所詮は生活のためにやむなく働いているだけなのでそんなことを真剣に質問する方がどうかしていると私は常々思っています。ここまで長い長い1文でした。
社長の仕事論や人生論を一言一句聴き逃すまいと身を乗り出したり、全力で仕事に打ち込んで常に上を目指したりしているという「キャラ設定」で社会人は平日昼間を活動している人が大半なはずですよね?あくまで「設定」です。フィクションです。それを本気にしちゃいけません。「そういうことにしている」だけなんだから、大真面目に突き詰めるのはマナー違反です。
そういう「設定」だと言うのならその「設定」を貫けという声も聞こえてきそうではあります。まあ、私の「演技力」や「演技にかける情熱」も不足していたという反省はあるにはありますが、しかしそこで出世に関心を示そうものなら本気にするでしょ?それはそれで後あと面倒なんですよね。出世に興味ないならなぜそう言わなかった、とか後でバレた時に問い詰めてくるでしょ?絶対。社長の話に感動したはずなのになぜその通りに実践しないのだ、とか問い詰めてくるでしょ?絶対。
なぜも何も、「そういう表面上の設定でしかないから」としか言いようがありません。中の人は別のことを考えていますと言うほかありません。昭和の時代にはその「設定」を貫くことがプロフェッショナルだったのかもしれませんが、今は本心が別のところにあるということを表立って全面的に認めないと会社組織自体が成立しません。それがダイバーシティでしょう?その程度の時代の変化くらいは感じ取っていてもらいたいものですが、会社という奴はそこを履き違えて顰蹙を買うわけですね。従業員は文句を言わずにお偉方がいい気になって名経営者ごっこをしているのを放っておいてあげているのだから、そちらも従業員がお偉方に対して不要不急の演技をしなければならないような場面を減らしてもらいたいものです。だいいち、もし本気で仕事に本気になってもらいたいのなら、相応の仕掛けやらメッセージやら高尚なミッションやら、様々な形での会社と従業員の間のコミュニケーションが必須になります。でもあなた方、そんなこと何もやってないでしょうが。
毎日会社に「行ってあげてる」時点で十分私は「設定」を忠実にこなしていますので、余計なことは聞かず黙って給料だけ渡してもらいたいというのが本音です。そもそも会社の唯一の社会的存在意義は、雇用を増やして給料を増やして従業員をリッチにすることです。資本主義社会において会社が有用と言える理由はそれだけです。そして従業員に十分すぎるキャッシュを渡し続けることが、会社が存続できる唯一の方法でもあります。従業員の本業は消費者であり、最もお金を使ってもらいたいと会社が考える最終顧客に他ならないのですから。「設定」を本気にするのはやめてもらいたいものです。
もちろん、私たち自身もそんな「設定」を本気にしてはいけません。特に疲れている時は尚更です。職場に来てあげているだけでも偉いのに、本気で仕事をするなんて絶対にやってはいけません。設定を守ることよりも自分の心身の健康を守る方がずっと大事です。
実際、私もこの1週間は疲れすぎで強烈な眠気につきまとわれた状態で溜まりに溜まった仕事の山に立ち向かいましたが、自分に対して出力制限をかけてエネルギー消費を抑え、残業を固く禁じて回復の時間を確保するようにしていました。仕事の関係者のうち幾人かはそんな私の遅々たる仕事ぶりに対して苛立ちを覚えているように見えましたが、そんなことは知りません。順番に対応しますので列に並んでお待ちくださいという話でしかありません。
マクドナルドでハンバーガーを注文するのも、スーパーのレジで野菜を買うのも、銀行のATMでお金を引き出すのも、タクシーに乗るのも、高速道路の料金所を通過するのも、病院で診察を待つのも、役所で手続きするのも、推しのコンサートに参加するのも、全部順番です。あなたがどんなに急いでいようが、お腹が空いていようが、トイレに行きたかろうが、順番は順番です。たとえあなたの前に並んでいる案件がもめにもめて解決に難儀したとしても、あるいは疲労で私の処理能力が落ちていたとしても、あなたの案件の処理はあなたより先に列に並んだ仕事が片付いた後です。そして、私が素早い処理を実現できるようになるのは、十分な休息が確保できて私の疲労が解消された後でしかありません。列に並ぶかどうかを判断するのは私ではありません。
今回の記事で言いたいことはつまるところ、自分の健康を優先すべきだ、ということです。疲れが溜まっているのに無理に仕事なんてすべきでない、ということです。だから回復するまでは休み休みでそこそこの働きで良いのです。たとえ締め切りが迫っていようが、重要なイベントが迫っていようが、です。企業は「どうしても休めないあなたに」とか言ってドーピング薬を売り込んでいますが、自然の摂理として人間には休みは必要です。どんな時もフルパワーで仕事をしろだなんていう方が非現実的です。ドラゴンボールじゃないんですから。ちなみに『ドラゴンボール』はフィクションのコミックスで、その主人公は宇宙人です。人間ではありません。鳥山明先生のご冥福をお祈りいたします。
私たちは、宇宙で最もタフな宇宙人やその宇宙人を生み出した偉人の真似をして無理をする必要はないのです。そもそも私たちは仕事をするために生まれてきたのではないはずです。そういう人もいるでしょうけど、多くの人はそうではないはずです。仕事をするために生まれてきたわけではない人々を集めて仕事をさせなければならないのですから経営者は苦労して当然ですが、それはそれとして、私たち仕事をするために生まれてきたわけではないタイプの人々は仕事よりプライベート優先、自分の健康優先が当たり前です。疲れている時はもっと仕事の優先順位は下がります。この感覚がごく当然になれば、ドラゴンボールを7つ集めなくても、宇宙からの侵略者を撃退しなくても、日本人は幸福になれるでしょうね。
自分を大事にしましょう。いつだってそれが結論です。
ちなみに、人事部長からの質問を鼻で笑ってしまったあと、気を取り直して一応は印象に残った社長の言葉をひとつ挙げました。もっともらしく。私の後に続いた人たちはその間に何を言うか全力で考えていたそうです。
ということで今回はこれでおしまいです。次回もぜひ読んでください。
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