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彼女が死んだら。

たぬきさんと交際してそろそろ3カ月になる。

「交際してから三カ月が最初の山場だよ」

前職の事務の人から言われた言葉。

確かに、付き合いたての手が触れ合うもどかしさとか、
帰る帰らないの駆け引きだとか、
そういうドキドキ感は大分落ち着いた。
たぬきさんの前でおならをしたり、トイレをしても何も言われないくらい。

今では手を繋いで歩くのが当たり前になっている。
定位置はたぬきさんが左側で右側が私。
そうじゃないと落ち着かないって言ってた。
街中でよく見かける、
男性が女性の腰とか肩に手を回すやつは未だに理解できないけど。。

明日以降いつでも会えるからか、
帰り際も前より、あっさりとバイバイすることができる。
たぬきさんは今でも、帰り際になると寡黙になって少し寂しそう。

初対面の時は、私がたぬきさんの指を持ち帰りたいって言ってたのが、
今ではたぬきさんが私の手とか顔だけでも持って帰りたいって言うようになった。

こうやって考えてみると、
やはり私はたぬきさんへの会いたい欲とかは、
付き合った当初に比べると落ち着いてきたと思える。
でも、毎日会うのも苦では無い。
好きな存在というよりも、一緒に居ると安心する存在に
なってきたという感じ。
これが良いことなのか、悪いことなのかは分からない。

逆にたぬきさんからは
どんどん私に対しての愛は強くなってきてるように感じる。

それもあってか、たぬきさんがあまり
私に対して見せないようにしていた一面が、
ちょこちょこ顔をだしてくれてる実感がある。

この恋愛映画をたぬきさんと観てきた。

恋愛映画をわざわざ映画館に観にいったことは無いから、
初めての経験。

元々、たぬきさんは一人で観ようとしていた。
と言うのも、ジャニオタ向けのジャニーズ主演映画を
私が毛嫌いしているから。オタク全開してたら嫉妬してしまうし。

前にこの作品を観にいきたいと言われ丁重にお断りした経緯もある。
この主演の男性が筋肉陽キャっぽくて私の好みのイケメンでは無いし…
(Snow Manでは人気な人らしい)
ちなみに、映画の内容はオタクのたぬきさん視点でも
微妙って言ってた。

観に行った映画に関しては、
主演男性がジャニーズって知らなかったことと、
単純に仕事辞めて暇すぎて、たぬきさんが映画に一人で行くなら、
ついていこうっていう気軽な気持ちでたぬきさんの地元劇場まで駆け付けた。

映画の内容はよくあるような、1日で記憶が無くなるヒロインとの恋愛。
お互い最初は付き合ってる振りをしてたのが、
気が付いたらお互い好きになってる的な。

たぬきさんは涙脆いから、観る前から絶対泣くって宣言してて、
言った通りで号泣してた。
ぽんずもメンタル弱いから絶対泣くと言われたけど、
私は家で映画やアニメを観て泣くことはあるけれど、
映画館で泣いたことは記憶の限りない。
(鬼滅でギリ泣けなかった)

結果からすると、意外なことに泣けた。
号泣って程ではないけれど、
頬に涙が2,3粒落ちてきた。

泣くポイントとしてはネタバレになるけれど、
男の子が最後、病気で死んでしまう。

でもそこでは目頭が熱くなるだけで、
あと一押しって感じ。

ダムが決壊したのは、
男の子が死ぬ前に、自分が死んだら、
彼女の記憶から自分を消して欲しいって
彼女の親友に頼むところ。

彼女は毎日記憶が無くなるから、
ノートに出来事を記録してて、
そのノートから彼氏の存在を消せば、
彼女も出会ったことにならないから、辛い思いをしない的な。

彼女の親友の泉ちゃん。
多分泉ちゃんも男の子の事好きになってたと思う。
でも親友の彼氏だから二人が仲良いのを見守ることしかできず、
デートで一緒に出かけて自分がそこにいる疎外感みたいなのも感じてて、
作中一番辛そうだった。
(親がデザイナーで凄い一軒家に住んでるのを除けば…)

でも映画を観終わって少し考える。
私はたぬきさんが死んだ時に泣けるだろうか。
正直分からない。。

想像が出来ないし、実感も湧かない。
これは別にたぬきさんに限った話では無い。
家族や友人が死んでも、多分私は泣かないと思う。
薄情なやつだ。

「ごめん、私コロナ陽性だった、、」

たぬきさんが会った翌日から体調が悪いらしく、
検査をしたらコロナだった。

でも、驚くことにたぬきさんが症状が出た
一週間前から毎日会っていた私はなんということもない。
コロナ陽性でも無症状があるらしいからそれなのだろうか。

最初は喉が少しイガイガするから、
少し熱が出てきたと、たぬきさんの病状は日に日に悪化していった。

たぬきさんから突然夜に電話がかかってきて、
その声からも喉が痛そうなのが伝わってくる。
たぬきさんは泣いていた。

高熱が辛くて、食べ物が食べられない程喉が痛い。
喉の痛みで寝られない。
血中酸素濃度?も低くて息もしにくい、
このまま死ぬ人もいるらしいと。

「私にもしもの事があったら、お母さんから連絡して貰うようにしてる」

たぬきさんがとても辛いのは分かるが、
私はたぬきさんが死ぬという想像ができなくて、
何て声をかけたら良いのかも分からなくて、
大丈夫だよと言うことしかできなかった。

何なら、最近観た映画に感化されすぎてるだけなんじゃないかって
考えてしまったけれど、流石にノンデリな気がしたからそれは抑えた。

たぬきさんが辛い中、私にできることは特にない。
彼女が一人暮らしであれば、駆け付けて看病なんてこともあるのかもしれないけれど、彼女は実家暮らしで、母親という心強い味方もいる。

現状、熱は落ち着いてきていて、
あとは喉の痛みと嗅覚が全く無いだけとのこと。

たぬきさんとアプリで会ってから、
こんなにも会わないのは初めてだ。
今日で5日目。
治ってからの療養期間も考えると再来週まで会えないだろう。

今月の3カ月記念は当日にお祝いはできそうにない。

こんなことで、何かが大きく変わることは無いと思うけど、
たぬきさんが弱気になった時に、
遠い所から電話やメッセージだけで支えるのは難しいなって
今回で感じた。あと人を励ますのもどうやら苦手。

たぬきさんがどこまで自分に求めているのかは分からない。
単純に声を聴けるだけで十分かもしれないし。
思ったことは言うように伝えてあるから、
あまり考えすぎない方が良いのかな。。

何はともあれ早く元気なたぬきさんに会いたい。

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