堀内都喜子「フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか」
・本書は、フィンランドの大学院(フィンランド・ユヴァスキュラ大学大学院)で修士号を取得し、その後、フィンランド系企業を経て、現在はフィンランド大使館で広報の仕事に携わる著者が、2019年にワークライフバランス世界1位になった、フィンランドの働き方&生き方とその秘訣について解説した1冊。
・フィンランドの特徴として、
⚪︎「ゆとり」に幸せを感じる
⚪︎自分らしく生きていける
⚪︎一人当たりのGDPは、日本の1.25倍
⚪︎マクロ経済の安定は世界1位
⚪︎インフラや教育が高く評価されている
などが本書で挙げられている。
・フィンランドはイギリス人の政策アドバイザーが創設した「良い国ランキング」(人類に貢献している国)でも1位となっていおり、これは、科学技術、文化、国際平和と安全、世界秩序、地球環境と気候、繁栄と平等、健康と福祉の大きく分けて7つの基準で測る。フィンランドは、報道の自由や移動の自由、さらに環境への負荷の少なさや特許数、そして平等などが高く評価された。
・さらに、安定した国、大学が良い国、女の子にとっていい国、子どもにとって公平な国、政治やビジネスにおいて透明性の高い国腐敗度の低い国、報道の自由度が高い国、イノベーション度が高い国、水がきれい、空気がきれいなど、フィンランドがトップにあるランキングは数多くある。
・また、教育についても世界トップクラスであり、幼児教育から高等、成人教育までフィンランドの教育の注目度は高い。
※その他にも幸福度1位の理由が書かれているが、詳細は本書をご覧ください。
・外国人から見てフィンランドの仕事文化で一番いいことは何かと問われれば、多くの人が「ワークライフバランス!」と答えるだろう。
・フィンランド人は長時間の残業をほとんどせず、休みもきっちりとる。就業時間内はしっかり働くが、それと同じくらい休みも大切にするし、全ての人にそれが徹底されている。
・フィンランドの休憩も外国から見ると独特で、「タウコユンパ」というエクササイズ休憩や、法律で決まっている「コーヒー休憩」など、効率よく働くための効果的な休憩時間が導入されている。
・また、社員が交流する「レクリエーションデイ」、「リトリート」、「サウナで会議」など、仕事の能力や、やる気の維持、改善するための活動など最大限の能力が発揮できるための取り組みも特徴である。
・日本とフィンランドでは、仕事の進め方に違いがある。日本のプロジェクトでは細かな部分を詰めて計画をきっちり立ててから進める傾向があるが、フィンランドでは逆で大枠から考えて、徐々に細かいところを詰めていく。だからあまりきっちりとしたら計画は立てず、その時その時に計画を修正していく。
・また、完成度への感覚も少し違っており、日本は締め切りを過ぎてしまっても完璧に仕上げたいと考え、フィンランドは合格ラインを超えていれば完璧でなくともよい、つまりグッド・イナフで締め切りに間に合わせ、可能性があれば少しそこから調整していく、という感じである。
・本書では、「フィンランドはなぜ幸福度1位なのか」「フィンランドの効率のいい働き方」「フィンランドの心地いい働き方」「フィンランドの上手な休み方」「フィンランドのシンプルな考え方」「フィンランドの貪欲な学び方」という章で構成されており、「残業しないのが、できる人の証拠」「父親の8割が育休をとる」「睡眠は7時間半以上」「9割以上の人がサウナを楽しむ」「1年は11ヶ月と割り切る」「4週間の休みを取る理由」「フィンランド人の二人に一人は、転職の際に新たな専門や学位を得ている」など、フィンランドの働き方や暮らし方、考え方などの概要とその理由について事例と合わせて紹介された内容となっている。
もちろん、フィンランドの課題もたくさんあり、パラダイスではないが、フィンランドから学べることはたくさんあり、日本もこうなったらいいのに…と著者は考えている。
フィンランドの事例を通じて、新たなものの見方が生まれたら幸いです。
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