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菊地高弘「野球ヲタ、投手コーチになる。 元プロ監督と元生物部学生コーチの京大野球部革命」

・本書は、野球専門誌の編集者を経て独立し、野球に関する書籍(野球部あるある・下剋上球児など)を中心に世に出す著者が、元プロ野球選手の監督と、プレー経験のない"野球ヲタク"の元生物部学生コーチがいる最下位率95%だった京大野球部が起こした奇跡の物語が収録された1冊。

・京都大学野球部監督の近田怜王(ちかだれお)氏(以下、近田氏)は、1990年4月30日に、兵庫県三田市で三兄弟の三男もして生まれる。
・近田氏は、中学の頃から、地元では速球派サウスポーとして有名で、リトルシニアでは、シニア日本代表に選ばれ、世界大会に出場。その後、名門・報徳学園に進学し、高校1年時から「スーパー1年生」としてメディアにも取り上げられ、高校在学中に甲子園に3回出場した。
・ドラフト会議で、福岡ソフトバンクホークスから3位指名され、プロ入りを果たすも、成績が振るわず、ソフトバンクから戦力外通告を受ける。
・そんな時、ある人からの誘いで、JR西日本に入り、社会人野球を3年経験した後、JR西日本の鉄道マンとして社業に専念する。
・ある日、JRの催したパーティーで、京大野球部の監督を務めた経験がある同社の大先輩を見つけ、そのことがきっかけで京大野球部のコーチに就任し、その後、監督として指導するようになる。

・京大野球部は、関西学生野球連盟に所属し、他には、「近畿大、立命館大、関西大、関西学院大の5校が名を連ねている。
・リーグ優勝経験のある5校とは対照的に、京大は優勝経験がないどころか、近田氏が就任した時点では、70季中、67季でリーグ6位となっており、最下位が定位置というありさまだった。
※京大野球部がなぜこの定位置にあるのかについての詳細は、本書をお読みください。

・京大野球部では、2019年からラプソード(打球・打撃のデータを測定・分析するトラッキングシステム)を導入することとなり、このラプソードを扱うための「アナリスト」を募集したところ、灘高出身で、一浪を経て経済学部に入学した三原大知氏(以下・三原氏)が応募してきた。三原氏は、中高時代は生物研究部に所属し、野球プレーの経験は一切ない。
・三原氏が在学していた灘の校舎は、甲子園球場までは、電車を使えば30分もかからずに到着する場所だったので、野球好きな友人と連れ立って、よく観戦に訪れていた。
・その際、スタンドから大声を出して応援するタイプではなく、じっと静かに試合を見つめ、分析するのが三原氏の楽しみ方だった。これは、アイドルのライブ鑑賞と同じである。
・三原氏は、数々のデータに触れるなかで、成績を残せる投手にはパターンがあると理解する。その後、自身のSNSアカウントをつくり、インターネット上でさまざまな野球マニアと交流するようになる。
・このネット上で揉まれた中高生時代が、三原氏の野球観の根幹になっていった。
※そんな三原氏が、京大野球部の学生コーチになるまでの経緯、そして、京大野球部の選手の才能を開花させる"三原マジック"のエピソードが収録されているが、詳細は本書をお読みください。

・本書では、京大野球部監督の近田氏、野球経験なしのアナライザーで野球ヲタの三原氏の他、10名の京大野球部選手が主な登場人物として挙げられており、彼らが起こした奇跡の物語が収録されている。

どんな奇跡を起こしたのかについては、本書をお読みいただけたらと思います。
※ちなみに、著者は三原氏をきっかけに、京大野球部の取材にのめりこんだとのことです。

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