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大河内昌弘「経営破綻寸前の病院が大感動を売ってみたら大人気になった件について」

・本書は、2012年に自身の内科クリニックを開業し、経営破綻寸前の倒産危機に陥るも、命を預かる仕事では不可能だろうおいわれてきた「おもてなし」を導入したことで、「大感動を与える医療」がたちまち話題となり、「病気がなくても行きたくなる病院」とまで言われたクリニックの院長である著者が、医療業界に「おもてなし革命」を起こしたその裏側について大公開した1冊。

・今の医療では「技術」こそが大事だと考えられているが、この「技術」こそむしろ患者の健康を悪化させる可能性があるとわかってきた。
・これからの時代の医療は技術だけを基準に考えると失敗する。とくに日本の医療は、それによってさたざまな不利益を患者に強いている構造になっていることもわかってきた。
・医療において何が大事なのかというと、「技術とホスピタリティ」である。もちろん、最低限の技術は必要だが、それに加えて「もうひと言」があるかないかの違いによってこれからの医療は大変革を迎えるのだ。
・大病院(一般的に、病床数が400床以上で主要な診療料を含む病院)は規模が大きく、設備も揃っている。また、優秀な医師がたくさんいて、最新の情報も集まっているなど、「技術」は不足していないが、それらだけで病気が治るのかというと「NO!」と著者は語る。
・著者は、内科クリニックを開業するも、廃業寸前まで追い込まれた経験がある。しかし、「医療はどうあるべきなのか、それを達成するためにビジネス業界で実績を出している手法を取り入れる」ということをして、病院の雰囲気が劇的に改善し、治療効果も通常の医療に比べて大きく向上させることができ、患者からの信頼も厚くなった。
・そのような経験から、現在ではもう、治療効果の大きさは「技術」だけではなくなっているということを確信している。にもかかわらず実際の医療現場では、「ある理由」からますます患者側が効果を得にくい状況となってきている。
※その「ある理由」の詳細については、本書をお読みください。

・日本の医療業界の闇は、大きく分けて、
①大学病院において、教授の力が強すぎる
②技術が専門分野で分かれている
③患者に対して医師が極端に権威化している
といつ3つの要因から生まれている。
・①は別名、「医師同士の断絶」とも言われている。大学病院は、各科の教授を頂点として、さまざまな医師(主任教授・准教授・助教授など)で構成されており、上下関係は非常に厳しい。
・東京や大阪などの大都市圏を除くと、基本的に1つの県に医学部は1つなので、例として、呼吸器科の教授が1人しかいない場合、その県の呼吸器医療の診療方針は、その教授しだいということになる。もちろん県内の大きな病院の呼吸器科の人事権も握っており、教授の一声で医療の大きなお金も動くことがある。
・これほどまでに、大きな力を持っている教授に、誰も逆らうことができず、各科において、そのような教授たちがちゃんと凄み分けてそれぞれの派閥を形成しているのが医療業界であり、医師同士の健全なコミュニケーションはなく、所属する科や教授によって「医師同士の断絶」が起きているのだ。
・このような状態が続くと、みんな自分の意見が言えなくなるのだ。そうなると、教授の言う通りの、いわば「教科書通りの治療」□できなくなってしまうのだ。
※①〜③の詳細については、本書をお読みください。

・本書では、「病院は「技術」で選ぶと失敗する」「医療を腐らせている隠された真実は「これ」だ!」「「おもてなし」を導入したら、全国No. 1の病院が生まれた」「奇跡を連発する常識破りの「おもてなし」思考」「「一線を越える勇気」が患者を救う」という章で構成されており、「なぜ、病院に行くと「具合」が悪化するのか?」「芸能人や政治家がすぐ「入院」できるVIPルームのカラクリ」「医療の闇に慣れすぎて犯した「2つのミス」」「大学病院の教授の権力ってどれだけ?」「乗り気でないスタッフを「乗り気」にさせる方法」「成功の秘訣は「一度に全員」ではなく「少人数」にあり」「本当に病気を治したい人が行くべき病院の選び方」など「ここまで話していいのか!?」というくらいぶっちゃけた医療の真実ならびにこれからの時代に必要な医療の考え方とあり方を同時にわかりやすく学ぶことができる内容となっている。

医療関係者だけでなく、それ以外の一般の方々すべてに目を通してもらいたい1冊です。

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