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エッセイぽいもの

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ちっぽけでも、伝えたいことがあって書いてる文章です
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2022年6月の記事一覧

別々に過ごしてきた時間を経て思い出すあの頃

別々に過ごしてきた時間を経て思い出すあの頃

久しぶりに会った人がお酒を飲んでごきげんに洋楽を口ずさむのを見て、「この人はわたしの知らないところで、わたしの知らない時間を過ごしてきたんだなあ」としみじみ思った。聴いたことのない曲。昔は邦楽ロックの話ばかりしていたのに、いつのまに洋楽を歌えるようになったんだろう。

たまに会う友人とか、知ってると思ってた人が全然知らない人に思える瞬間がたまにあって、そのたびに驚かされる。

人見知りの人は、誰か

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ろくでもなくて憎めないひとを思い出した父の日

ろくでもなくて憎めないひとを思い出した父の日

昨日は父の日だったらしい。スーパーのポップだとか、ニュースで見かけて知った。わたしは父も祖父も亡くなってしまったから、「いつもありがとう」という人もいなくて、自分には関係ないんだなあと、他人事みたいに思った。

でも考えてみたら、生きていたときは生きていたときで「父に感謝なんかできるかよ」という関係性だったから、父の日にはあまり縁がない人生。小学校低学年くらいまでは、「おとうさんいつもありがとう」

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外れたままの網戸

外れたままの網戸

少し外出するのに天気が気になって窓を開けたら、網戸が外れた。思わず「まじか……」と独り言が漏れる。数分ほど網戸とサッシをガチャガチャしたものの、はまる気配はない。少し遅い時間帯だったこともあり、元に戻すことを諦めた。

たったこれだけでの出来事で、猛烈にドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』を思い出してしまった。こういうときに、頼れる誰かがいてくれたらなあと、ため息をつきたくなる。

少し前、酔った友

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もしお金があったら費やしたいと願うなにか

社会人になって迎えた4月から5月にかけての2ヵ月間、わたしはとにかく金欠で、初の給料日となる5月末を心待ちにしていた。

新卒で4月に入社したときのわたしは、なぜか4月末にはお給料をもらえるものと思い込んでいた。でも、実際の給料日は2ヵ月後。つまり、5月末の給料日までの2ヵ月間を、手持ちのお金で過ごす必要に迫られたのだった。

入社前の3月頃、残り少ないバイト代は、大学生最後の春休みを満喫するとい

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自分から不幸貯金していくスタンス

自分から不幸貯金していくスタンス

特別不幸なことがあったわけではないけれど、前に読んだ「大泉エッセイ」に出てきた“不幸貯金”の話を思い出した。

不幸貯金というのは、いいことのために、よくない出来事を貯金するようなもの。

俳優の大泉洋さんいわく、良いことと悪いことは同じだけあって、だからツイてないことが起きたときは、不幸貯金ができたと思ってニヤリとするらしい。たとえば、行きたいお店がやってなかった、なんてときもそう。不幸貯金がで

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主食がたべっ子どうぶつでも愛せる?

主食がたべっ子どうぶつでも愛せる?

味も量も見た目のたのしさも含めて、たべっ子どうぶつが好きだ。数年前だったか、一時期思い出したかのようにたべっ子どうぶつを食べ出してからというもの、定期的にファミリーパックを買っては食べている。

今日の夕ご飯は、玄米ご飯と納豆とスーパーで買ったお刺身にした。お味噌汁もあった方がいいけど、めんどくさがって省略してしまった。いい加減に力を抜いているところが、一人暮らしの夕飯って感じだ。

テレビ番組を

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綺麗な部分を描きつつも、他をなかったことにしない文章を

綺麗な部分を描きつつも、他をなかったことにしない文章を

物事の捉え方は、そのひと次第。だから同じ世界を生きているはずなのに、自分じゃない誰かは全く違う側面を見ていることもある。たとえば、いいところに目を向けるのか、悪いところに目を向けるのか。意識の向け方によって、見える世界は大きく違ってくる。

そしてそれは、書く文章にも表れる気がしている。たとえば、この世界の美しさを見せてくれるような文章を「書ける」のは、その美しさに「気づける」から。物事のいやな部

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変わり続ける自分を書き残す

変わり続ける自分を書き残す

過去の自分が書いた文章を読んで前向きになれる日もあれば、「これだから書き残すのは嫌なんだよなあ」とネガティブに思う日もある。

なかでも、いまの自分はこう考えているとか、こう思っているという内容を書いた文章については特にそう。今日、ほんの数日前に書いた文章を読み返したときに受けた印象はネガティブ寄りだった。

「この書き方だと本当に言いたかったこととズレがあるな」と後悔したり、拙い文章に気恥ずかし

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好きな人と観た、それだけで高評価

好きな人と観た、それだけで高評価

映画のレビューサイトを眺めていたら、ある作品のレビューに「自分はあまりハマらなかったけど、好きな人と観に行けたから高評価です」という内容のコメントを見つけた。映画ってそんな見方もあるのかと、ちょっとした新発見だった。

考えてみれば、映画館で映画を観るということは、上映中以外のあれこれも含んでいる。たとえば、映画館に行くまでの時間や、映画館の座席に座り本編の上映を待つ時間、作品を観終わって非現実か

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