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こっちを見てよ。

今日の彼は何だか変だ。
何杯目か分からないワインをがぶりと飲み、ぼんやりと窓の外を眺めている彼の背中を少し遠くから伺うように見つめた。
何時もなら2人で仲良くソファに並び、ささやかなデザートを楽しみながら談笑しているはずなのに。

かたり。

考え事をしていた私はうっかり戸棚にぶつかり、音を立ててしまった。
その途端、彼はハッと我に返り、一瞬ぽかんとした顔をしてこちらを見た。
でも、それは一瞬のこと。
彼はすぐに瞳をフッと細めて、腕を広げた。
「おいで。」
よかった。いつもの彼だ。
ほっとした私は、小走りで彼の元へ向って、
細いけれどしっかりと筋肉のついた腕にダイブした。

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