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私が川崎戦で感じた読後感

2021シーズンが川崎フロンターレ戦で終わった。
最終節を前にして、すでに優勝はアウェイクラブに決まっており、私は「王者に一矢報いたい」そう思いながら、スタジアムへ向かった。

ただ、試合が終わり、家に帰ってみると今まで味わったことない読後感。
一体、このぼんやりとふわふわした前向きな丸い気持ちはなんだろうとずっとモヤモヤしていた。

2日くらい経ち、ふと野球とデータに造形の深い友達と話したときの言葉を思い出した。
それが「ゼロサムゲーム」。
ここで繋がった。
あの試合、スタジアム、空間は「ノンゼロサムゲーム」だったのではないかと。

サッカーはじめ、スポーツは基本的にゼロサムゲームである。
その日の試合であれば、マリノスがゴールを決めれば、フロンターレは失点する。
全体の総和は0になる。
これがゼロサムゲーム。スポーツ観戦は感情的にもゼロサムゲームだと思う。
勝利の嬉しさや喜びの感情は誰かの悔しさの上に成り立つ。
感情も総和すると原則0になる。

一方でノンゼロサムゲームはそうではない。
参加者の利益や損失の総和が0にはならない。
これだ!と思った。
私の考えはあの日いた日産スタジアムの総和が+1だったということ。
あのときに感じた気持ちは、「誰かの負の上に成り立つ感情」ではなく、「スタジアムが1つレベルアップしたような気持ち」だった。

こう思えたいろんな要因を考えた。
・試合内容が面白かったから
・スコアが引き分けだったから
・前田大然選手もレアンドロダミアン選手もゴールし、得点王も分け合ったから
・ホーム最終戦だったから
・優勝はすでに決まっていたから
・主審の家本さんが最後の試合だったから
・その家本さんを送り出す姿が美しかったから
・試合後の喜田さんのスピーチが素晴らしかったから
・お天気が良かったから
・スタジアムでいろんな人に会えたから
・スタグルが美味しかったから
・ブンちゃん会に参加できたから
・仲の良い人と一緒に観られたから

ただ、個人的にはどれか1つが決定的な1ではないなと思った。
むしろ、すべてが1を構成していると思う。

確かに今回は上手いこと、偶然このような結果になったと思う。
それでも、この偶発的に生まれた1つひとつの物事に立ち会えたことに私は幸せを感じた。

友人と以前、
「結局、スポーツ観戦の魅力は勝敗だけに左右されるゼロサムゲームだと長くは続かないのではないか」という話をした。

私はマリノスを応援しているので当然、マリノスが勝てば嬉しいし、優勝すれば超嬉しい。
でも、やはりそこには負けたクラブがある。
サッカーにおいて、無限に勝ち続けることなどありえない。
だからこそ、勝ち負けだけではない幸せをスタジアムで感じられる瞬間が必要であり、それこそが最終節の日産スタジアムで感じたノンゼロサムゲームの正体だと思う。
私はスタジアムにある、本名も知らない仲間との会話、美味しいご飯、選手のチャレンジングなプレー、規律のある手拍子、いずれも好き。
そして、どれもゼロサムゲームではないと思う。

フットボールを観に来た人たちの総和が+1かそれ以上になるスタジアムをJリーグは、横浜F・マリノスは、私たちは、実現していると思えた素晴らしい日だった。


最終節で感じた尊さやこれまで得たことがない感情を忘れないうちに言語化したくて、文章にしてみました。
またあんな空間が作れますように。出会えますように。

2022シーズンもよろしくお願いします。
良いお年を。

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