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探究する力を育むには?(3)

※プロフィールに勤務校名を出していますが、
 全ての記事の文責は個人にあります。
 以下、2022年10月の校内向けの通信に書いたものです。

Q:「探究する人:Inquirers」という学習者像に近づくためには?(3)

A:前回は、どちらかというと生徒のみなさんへのメッセージでした。
     今回は、保護者のみなさんやわれわれ教員など、周りにはどのようなことができそうか考えたいと思います。まずは子どもたちと同じように、「?」が浮かぶことを楽しむ姿勢をもつことを大切にしたいと思っています。

子どもも大人も「わからない」を言い合えていますか?

 子どもたちに何か聞かれたときに「わからない」と答えるのは、従来の教師像からすると難しいことでした。  大人の側が正解を知っていて、それを子どもに伝えるというのが前提だったからです。しかし、これからは同じ探究者として、頭の中に「?(はてな・モヤモヤ)」が浮かぶことを一緒に楽しむ役割を多く求められるようになります。

    また、子どもたちが「わからない」と言えたことをまずは歓迎し、安心して「わからない」と言える信頼関係を築くことにも努力を要する気がします。これまで我々は「何でこんなこともわからないの?」という否定的なメッセージを子どもたちに送ってしまうことが多くなかったでしょうか? 少なくとも子どもたちの様子を見る限り、教員や親に「わからない」と言うことをすごくためらっているように見受けられる場面がよくあります。これまで、「わからない」と言うと「ろくなことにならない」という思いをさせてきてしまった結果ではないかと思います。
     まずは、子どもも大人も「わからない」を言い合える。そして、「わからない」状態の「?(はてな)」が「!(なるほど)」につながるイメージを共有して、「!」に向かうにはどうするかをいっしょに考えたり、子どもたちが考えるように促す。そういう機会が増えれば、「?(はてな・モヤモヤ)」が浮かぶことを楽しめる探究者にだんだん近づいていくのではないかと思います。

「質問する」こつは?

 10月8日(土)の「保護者と語りましょう会」でも「探究的な学びと最近の大学入試(の多様化)」などがテーマでした。
 参加してくださっていた保護者もわれわれ教員も「何となくわかってきたところもあった」という一方で、さらに「?(はてな・モヤモヤ)」を増やすことができたように感じました。
 「そもそも、面倒くさがって探究しようともしない子はどうすれば?」   
 「探究の仕方、子どもたちはわかっているの?」
 「家庭ではどうすればいいの?」
 「うちの子には、探究を活かした総合型選抜と従来の一般型選抜どちらが向いている?」
 「どのくらいのバランスで探究に力を注ぐべき?」
・・・などなど、それこそ正解のない「?」がたくさん浮かんでいたのではないかと思います。
 私も、「どのようなかたちでどのようなことをお伝えしていけばよいだろうか?」という問いに対して、ヒントを得たり、新たな「?」が浮かんだりする時間を過ごすことができました。
 IB導入で修学館が変わってきたところのひとつが「みんなが学ぶことの楽しさを知り、学び続ける力を身につける」という学校教育目標が浸透し、実現される場面が増えたことです。「みんなが」は「保護者や教員も」という意味でもあります。この日もそのことを実感できました。参加者の感想にも「探究的な学びや大学入試の変化などについてもっと学びたい」などが多く書かれていました。
 この日も「家庭ではどういう声かけを?」という事前質問に対して、進路企画部主任の下入佐先生から「質問して、子どもの思考を促してください」というお話がありました。詳しく話すほどの時間はありませんでしたので、「具体的にはどうするの?」「質問のこつは?」という「?(はてな・モヤモヤ)」を持ち帰った方もいらしたかもしれません。
 ということで「質問する」こつは?と問いを立てて書きはじめましたが、最後の行です。
 次回までしばし「はて?何がこつかな?」とお考え下さい。

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