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Internationalmindednessの探求

Internationalmindedness・・・何とも長い英単語だ。普通これほど長い英単語にお目にかかることはないが、IBの文脈では、一応ひとつのワードとして扱われている。
インターナショナルマインディットネス、「国際的視野」という翻訳が適当とされているらしいが、うちの学校ではそのまま英語読みで通している。

英単語を何もすべて日本語にしなくてもいいはずだ。時には外国語をあえて日本語にせずに取り入れることがあってもいい。
それもひとつのInternationalmindednessだ。

ということで、今日はInternationalmindednessというものの意味について触れてみたい。

真面目な日本人としては、それが何であるかを「確実に」知りたいと思う気持ちもあるかも知れないが、先に言っておくと、特にこの言葉の解釈は非常に幅広く、賛同、不賛同も含め、あいまいなものでもある。
私も以前は、「正しい解」にこだわっていた時期があったが、人生をある程度生きてくると、曖昧さや解釈の自由は、我々の想像力を広げてくれるものだと気づくようになる。

皆さんご存知の通り、IB、国際バカロレアの基本的ビジョンは、教育を通して平和な世界を作っていくことだ。
IBのミッションスタートメントには、その考え方が明確に記してある。

「人がもつ違いを違いとして理解し、自分と異なる考えの人々にもそれぞれの正しさがあり得ると認めることのできる人」

IBミッションステートメントより

これがIBの期待するInternationalmindednessのひとつであることは間違いない。

多様性の時代、人と違っていて当たり前、それも社会に浸透しつつある価値観ではある。
「和を以て貴しと為す」、日本人の周りを思いやる気持ちや、利他の精神は今世界中でリスペクトされているメンタリティーであるが、それと「人と違っていてはいけない」というのもまた、日本人には染みついている文化だ。

実際、うちの学校へ通う保護者も、「人と違っていてもいいっていう考え方が好きなんです」と言いながらも、「でも友達が出来なかったり、集団生活になじめなかったり、他の子と同じように進学できなかったら心配で・・・」ともいう。
最初は「長いものに巻かれたくない、自分の道を行きたい」といいながら、最後は自分から長いものにまかれにいってしまう・・・
でも、そんな事は人間らしさであるし、他人がとやかくいうことではない。

嫌だと思っても、そこは時に自分の気持ちを抑えて、周りに合わせることもまた、社会生活においてはとても大事なことだ。日本に限ったことではない。

一方で、自分のイデオロギーのために、武力で他の人間の暮らしを破壊することを正義としている、ならず者がいるのも現実だ。
「いじめ」も、集団における異質なものを「1対多」という構図を作って攻撃しているものが多い。
いずれも許されることではないと考えるが、
「戦争をしている人にも”それぞれの正義がある”のではないか」そういう議論になることもある。
ゆえに、Internationalmindednessの議論は実に奥が深いのだ。

いずれにしても、世界がどんどんグローバル化し、人も文化もミックスしていく時代だ。そういう時代を生きる者としては、多様な価値観を受け入れられるメンタリティーを持っていないと平和に共存していけないという考え方に、異論を唱える人はいないだろう。

先日、うちのコンサルタントから興味深い話を聞いた。ある小学校で、生徒に色々な質問をして、子どもたちの「多面的な思考力」を見てみようとした時のことだ。

質問のひとつに「すべての人はベジタリアンになった方がいいと思うか」というものがあり、それに対して、全員が即座に「それはダメだ。健康のためにはお肉も食べないといけないから」と答えたらしい。
質問者は、さらに子ども達の話を聞き出そうと時間をかけたけれど、いわゆる「ベジタリアンになった方がいい」という意見はまったく聞かれない・・・しかし最後の最後、5年生の女の子がぽつり・・・「でも、動物の立場だったら自分は食べられたくないかも知れない」と。

他の子もそれを聞いて、はっとした表情になり、そこからは「確かにかわいそうかも」「お肉が嫌いな人は食べなくてもいいんじゃないか」などの意見が聞かれたという。
正しいとか間違っているかの論争ではない。こういう話し合いが出来る子になってもらうことがInternationalmindednessを育むことだ。

想像力、共感力・・・そういう意味では、これらもまたInternationalmindednessに違いない。

皆さんにとってのInternationalmindednessとは何ですか?

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