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Diversity&Inclusion for Japan(番外編③)〜ゆるく学ぶD&I_BLMとJuneteenth

なぜ書くか

Diversity&Inclusion(ダイバーシティ・インクルージョン ※以下D&I)というコンセプトがビジネスの世界において重要になる中、日本に住む約1億人には世界的な最新の取り組みやトレンドを学ぶ機会が多くありません。Every Inc.では「HRからパフォーマンスとワクワクを」というビジョンを掲げ、グローバルな取組みやアカデミックな文献からD&Iに関する歴史、取組み、事例など”日本なら”ではなく、”グローバルスタンダード”な情報を提供しています。
https://every-co.com/


とある一日の続き…



(Masa)いやーそろそろ海の日か。夏だな。

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BLMとカラーブラインドネス

(Eishin) そういや、日本でも時々BLM運動(Black Lives Matter=「黒人の命も大切だ」)がニュースで取り上げられてるようですが、「アメリカってまだ人種問題で揉めてんの?」とか「人種にこだわりすぎるから駄目なんじゃね?」って声もちらほら耳に入りますね。たしかに、同じ人間として分け隔てなく接するのがベストなんですけど、今挙げた意見ってアメリカではカラーブラインドネスって呼ばれがちなんですよね。聞き馴染みのない言葉かもですが、人種や肌の「色が見えない」という態度・考え方です。

一見、「人種をなくす」のは良いことだって好意的に思うかもしれませんが、結果的に見た目や文化の違いからくる偏見や差別の歴史・現状を無視することになってしまいます。アメリカのウェルネスイベントでも、医療現場における黒人差別事例や特有の健康問題などが取り上げられていました。アメリカ黒人女性の妊産婦死亡率がアジア系女性の約3倍であるとか。かなりエグい。


(Masa)暑い。とにかく暑い。。


アメリカでもっとも新しい祝日。Juneteenth

(Eishin) あ、そんで海の日といえば祝日!さきほどPride Monthとか年間行事についてお話ししたついでに、つい先日、連邦祝日として制定されたJuneteenthをご紹介させてください。その名の通り6月(June)19日(Nineteenth)でJuneteenthなんですけど。1865年6月19日に発令された奴隷解放宣言を祝う日が全国的な祝日として認められたんです。1983年にマーチン・ルーサー・キングJrデーが制定されて以来、初の連邦祝日制定なのもあってアメリカではビッグニュースだったんですよ。

アメリカの第二の独立記念日やフリーダム・デーとも呼ばれていて、祝日として認められるずっと以前から全国のアフリカ系アメリカ人コミュニティでBBQパーティーや街頭パレード、ミスコンなどを通して盛大に祝われてきました。というのも、アメリカ建国後も約90年間もの間、一般市民ではなく奴隷身分のままだった方々が、ようやく自由を手にした歴史的出来事だったためです。かといって、平等な権利享受からは程遠く、のちの公民権運動など地道な努力や抗議が続いていくわけですが...


(Masa)Berkeleyのマーチン・ルーサー・キングJrストリート懐かしいよな。てかLettermanの番組好きだな。



タルサ人種虐殺事件から丸100年

(Eishin)また近々Berkeleyに来てくださいよ。Juneteenthって、ちょうど今年がある事件から丸100周年なのもあって話題なんです。かつてオクラホマ州タルサ・グリーンウッド地区で栄えていた黒人ウォール街が襲撃された、タルサ人種虐殺というものすごく痛ましい事件がありまして。


事件前は、全米で唯一無二の黒人商業区域として大変成功をおさめていて、病院、教会、法律事務所、新聞社、レストラン、映画館やホテル...衣食住やエンタメがすべて揃う、アフリカンアメリカンにとっての誇りと生き甲斐が詰まった場所でした。それが一夜にして、白人暴徒の手によって黒人の一般市民300人の命が奪われ、35区画もの商業地域が焼き払われ、1250棟もの住宅が全焼したんです。

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(Juneteenthフェスで飾ってあった絵画)


被害額は現在の価値で2700万ドルにものぼったといわれていますが、現在も損害賠償訴訟が係争中、誰一人として逮捕・責任追及には至っていません。この事件を経験した生存者は3名いて、先日タルサで開催されたBlack Wall Street Memorial Marchにも参加されたそう。僕も先日グリーンウッド地区を訪問したんですが、事件を風化させないためのモニュメントやアートが街中に溢れていました。


ちなみに、連邦祝日制定直後の週末に開催されたJuneteenthフェス、ライブミュージックなどのイベント目白押しで猛暑の中でもすごく賑わってましたよ。旅の土産として、露店で売ってたBlack Wall Street Timesの限定書籍買っときました。結構レアものかも。


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(Juneteenthフェスのお土産)


インターセクショナリティ(交差性)

(Eishin) 話を戻しますと、未だにアメリカ社会では黒人取締法、レッドライニング(特別警戒地区指定)、ジム・クロウ法など、かつての制度的人種主義の名残もまだ残っていたりするし、人種的マイノリティx貧困っていう複合的マイノリティ状態にも陥りがちなんですよねダブルマイノリティって言ったら分かりやすいかな。

このマイノリティとマイノリティのかけ合わせをインターセクショナリティ(交差性)とも言って、元々女性運動から生まれた言葉なんですが、複数の差別の軸が組み合わさって独自の抑圧を生んでいる状況になっちゃうんです。


(Masa)スクランブル交差点的な感じ?


(Eishin) 違います。別に人種や経済状況に限った話じゃなくて、他に例を挙げると、女性x発達障害、トランスジェンダーxうつ、外国籍xHIV持ちとか、組み合わせは無限ですよね。ふたつだけとも限らないし。とある人が、日本人「だけ」、男性「だけ」であることはあり得ず、他のアイデンティティも複雑に絡み合って交差しているのが人間ってもんだと。そのぶん生きづらさも複雑化したりする。

その人の軸になるアイデンティティがひとつとは限らないし、本当に色とりどりだからこそ奥深いですよね。そんな中、例えばひとつである「黒人であること」の困難と向き合ったり自身のルーツに誇りを持つのはとても大事だろうし、他の複数のアイデンティティを同時に考えるってことも必要だし。違いを尊重し合える世界では「ラベル付け」ってまだまだ役割があるんじゃないかなー、なんて思いました。


(Masa)俺パチンコ読んだわ。今度ドラマになるらしいね。さ、寝るか。



<参考文献>

100 years after its destruction, Greenwood was thriving during Juneteenth, https://theblackwallsttimes.com/2021/06/21/100-years-after-its-destruction-greenwood-was-thriving-during-juneteenth/

Racial Color Blindness: Emergence, Practice and Implications, https://www.hbs.edu/ris/Publication%20Files/Racial%20Color%20Blindness_16f0f9c6-9a67-4125-ae30-5eb1ae1eff59.pdf

Racism in Healthcare: What You Need to Know, https://www.medicalnewstoday.com/articles/racism-in-healthcare

What the 1921 Tulsa Race Massacre Destroyed, https://www.nytimes.com/interactive/2021/05/24/us/tulsa-race-massacre.html

What's intersectionality? Let These Scholars Explain the Theory and Its  History, https://time.com/5560575/intersectionality-theory/

著者紹介:松澤 勝充(Masamitsu Matsuzawa)

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株式会社Every 代表取締役CEO

神奈川県出身1986年生まれ。青山学院大学卒業後、2009年 (株)トライアンフへ入社。2016年より、最年少執行役員として組織ソリューション本部、広報マーケティンググループ、自社採用責任者を兼務。2018年8月より休職し、Haas School of Business, UC Berkeleyがプログラム提供するBerkeley Hass Global Access ProgramにJoinし2019年5月修了。同年、MIT Online Executive Course “AI: Implications for Business Strategies”修了し、シリコンバレーのIT企業でAIプロジェクトへ従事。

2020年4月1日に株式会社Everyを設立。採用や人材育成、評価制度など、企業の人事戦略・制度コンサルティングを行う傍ら、UC Berkeleyの上級教授と共同開発したプログラム(HRBP養成講座)で、「日本の人事が世界に目を向けるきっかけづくり」を展開している。

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近松瑛真(Eishin Chikamatsu)

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東京都出身。University of California, Berkeley大学正規留学を通して社会学・LGBT学を学ぶも、結局学外に広がるアメリカ社会の全貌がつかめず。卒業後にキャンバシングを通して文化・教育・政治などにまつわる会話やエンカウンターを増やすことで、英語力アップ&理解を深める。ベイエリアの環境系NPOで営業・採用・ボランティアコーディネーターなどを兼任したのち、日本語を活かした仕事に就きたいと思い立ち方向転換、CCSF医療通訳プログラム首席卒業。現在は某シリコンバレー企業で日本市場の広告QAを勤めつつ、医療通訳・翻訳家、ときどきアクティビスト・オーガナイザー。日米ハーフでトランスジェンダー・ゲイ。

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