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【遡及】作品解説

2022/11/7-11/13 
日本橋にて個展開催中🎨

個展の名前は「遡及」。
この名前には、昔からの書の歴史を知った上で新しい形に昇華させたいという願いを込めています。

文字には長い歴史があって、
意味を変化させながら今の形になってきました。
今では驚いてしまうような全く違う意味から派生した漢字もあります。

もともとは中国で生まれた書道。
しかし文字をアートのように捉え、形を自由に変化させたのは日本に渡ってからで、世界を見てもここまで文字の変化を楽しんでいる国は稀だそうです。

古典を学んで、新しい形にしていく。
昔からの伝統的な書も、現代のアートと組み合わさった書も、両方の良さをうまく混じり合わせた作品が、誰かの心に届くことを願っています。

個展では、古典的な書から新しい形を追究した作品まで展示しています。
ひとつの文字にも様々な表現があるということを味わっていただけたら幸いです。

【作品解説】

①「人」

2つの作品はそれぞれどんな人 に見えますか?

私が知っている中で最もシンプルで、難しいと思う漢字です。たった2画の漢字ですが、全く違う雰囲気を醸し出します。

成り立ちに関して、「人と人が支え合って…」というセリフが有名ですが、実はこの字は1人の人間が横を向いている様子を表しています。
支え合う、よりも1人となって自立するという意味の方が近いかもしれません。


②「夢」

夢 という漢字は元々、寝ている間に巫女が呪いをかけて目をつぶっている暗闇に突然現れるものという意味からできました。
昔は、夢は"見るもの"ではなく"見せられるもの"と言われていたそうです。

③「幸」

幸 という漢字は元々、囚人が手枷をはめられる様子からできました。
昔は今よりも刑罰が残酷なもので、手枷は最も軽い刑罰とされていたようです。囚人は手枷をはめられたとしても、なんて自分は幸運なんだ、と思っていたことから「幸せ」という意味が伝わってきました。

④「想」

想 という漢字は、相手とお互いに心から向き合う、思いやる、という意味で使われることが多いですが、この字は 木、目、心 から成り立っています。
心の中になにかを見る、という意味から「思いをめぐらす」というイメージがついてきたそうです。

⑤「慈」

慈 という漢字は、草の芽と細い糸を意味していて、小さい子供を育てる親心、深くて大きな愛情が由来です。今は「純粋な愛、真実の友情」などの意味で使われます。

「愛する」という言葉よりもじんわりあったかい感じがします。

⑥「真」

この字は、意外な由来があります。
匙(さじ)で入れ物に詰め込む、という意味から生まれそこから「中身がいっぱいに詰まる」というイメージができ、「嘘偽りのない」という意味に発展したそうです。
諸説ありますが、もう1つ「人が逆さに吊り下げられる」様子を表していたとも言われます。「死」というのが何も変えられない現状であることから「まこと」という意味になっていくのだとか。

展覧会情報はこちらから。⬇️

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