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理想郷なんて実現不可能だしただの拠り所でも十分でしょ?という話

情けも施しも人の為ならず。
決して己が為のみならず。

90会の幹事を引き継いでから、あっという間に1年が経過した。
引き継ぎ当初に比べると近頃は特に活気づいてきた気がして、皆のお陰だなぁとしみじみ実感している。

私はよくLINEグループへのアナウンスの際に結びの言葉として「したっけ!」というフレーズを入れている。地元・北海道ではさよならの挨拶として定番なこの言葉を「方言特有のキャッチーさから何か生まれたりしないだろうか?」という安直な考えから取り入れた。結果、何人かの常連には"身内ネタの一種"として定着、所謂"指スマゲーム"が"したっけゲーム"に変化した挙げ句、飲み会(2次会以降)の余興になりつつある。
負けたらどうなるかって?ショットグラスでEAGERMEISTERの一気飲みとかかな。

近頃はもっぱら、残された面々で楽しさを積み重ねている感がある。
何せ帰任やら安全措置やら退職やらで面子が減っていく一方なのだ。現地サイドがいくら「いや、日本の方が流行ってるじゃないですか。ベトナム安全ですよ。封じ込め上手いです」とか日本本社に報告した所で、その手の方々は軒並み口を揃えて「万が一の事があれば日本の御家族はじめ方々に申し訳が立たない」とか何とかというお偉方の事……じゃなかったリスク回避のためには仕方がないというのだ。是非もない。

会社の長期海外研修で来ていたけど緊急帰国してしまった単身赴任妻の白木さん(仮名)とか、海外便が全ストップしたためにやむなく休職状態になった阿部さん(仮名)とか、引き続きベトナムに住みたくて転職したけどまだ赴任できずに地元でリモートワーク中の大樹さん(仮名)とか、そしてまだ誰も知らない誰かが、本当は他にもいるはずで。そうした人達がこれからハノイに来るのを、「第一声なんて声かけようかな」とか考えながら、ドキドキワクワクしながら待っていたい。

そしてその一方で、しばらく忙しくて参加する機会がなかった人や、そもそも会の存在を知らなかった人にも来て欲しいなぁとも思ったりする。

つい先日、たまたま同い年の女性に出会った。
確かベトナムに来て2~3年くらいの金融系の人だと話していた気がする。90会の事を聞くと、『昔はLINEグループに入っていたけど、"うるさいから抜けた"』と答えた。

……はて、"うるさいから抜けた"というのは一体どういうことだろう?と、純粋な疑問が湧いた。
グループ内での複数人によるやり取りとかがうるさいと感じたのか、幹事のしたっけ推しがうるさいと感じたのか、はたまた同じグループ内の誰かが直接メッセージを送ってくることが度々あって(実際あるのかどうか知らないけど?)それがうるさいと感じたのか。
ぱっと思いつく理由はこの辺だけど、実際の所はどうなんだろうか?と。

なにせ彼女とは初対面である。
LINEの名前が何であるかも知らないし、一体いつ頃グループに参加していつ頃退出したのかも知らない。
曲がりなりにも幹事をやっている以上、どういう理由で、どういう経緯で人が離れていくのかはできるだけ把握しておきたかった。もちろん、改善なり予防なりできることがあるならば積極的に取り入れていきたいとも思った。

けれど、結局そこを深堀りすることは叶わなかった。
彼女の返答の直後、一緒にいた隣の人が『そういうことや!そういうところやで!』とか何とか、訳の分からない野次をツバと共に飛ばしながらドヤ顔で人の顔を指差してきて、「何も知らない癖に、こいつは何を偉そうに勢いよく上から目線でまくし立ててくるんだろう……?」と、今年いよいよ30歳になろうというのに私はその瞬間にカチンときてしまい、そのままへそを曲げてしばらく黙ってしまった。後になって、流石に大人気なかったかなと反省。ついでに、何だかんだで聞きそびれてしまった事に対しては、ちょっともったいない気がした。

生き方、考え方、捉え方etc...皆人それぞれだ。
全ての人に快く受け入れられる理想郷みたいなコミュニティなんて到底あり得ないと思うのだけれど、だとしてもできるだけ多くの人に受け入れられる場所にしていきたいし、そのためにはできるだけ多くの人を受け入れられる場所でなくてはならないと思っている。その気持ちは変わらない。今までも、そしてこれからも。

望むだけで叶うのなら、ただの理想郷なんて余裕かもしれない。
望んでも叶わないなら、ただの拠り所だけど十分かもしれない。

#雑記 #独り言 #海外生活 #ベトナム #ハノイ #日本人サークル #ハノイ90会 #1990年生

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