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解説-三浦大知「Be Myself」

■「違和感」からの「解放感」

こんにちは!松岡(@iamkisimen)です

2018年夏、再生した瞬間、強烈な「違和感」があり
最後まで聞き終えた時、最高の「解放感」を感じた曲がコレ。

初めて味わう感覚
その楽曲の魅力を、
分かりやすく解説してみようと思います!

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三浦大知「Be Myself」
リリース:2018年8月22日
作詞・作曲・編曲:Nao'ymt
info:2018年8月2日にMVが公開され、
公開から11日目で100万回再生を突破。

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三浦大知 (Daichi Miura) / Be Myself -Music Video-

■不穏なAメロ~違和感の正体は?

再生した瞬間の
「強烈な違和感」
「不穏な感覚」の正体は何でしょうか?

それはズバリ
①曖昧なリズム/アタックを潰したシンセ
②揺らぐボーカル/3連符(のような)フロウ
が理由だと思います。

そして
③閉塞感のある歌詞

とシンクロすることにより、
不安定さ、緊張感を強調しています。

曖昧なリズム/アタックを潰したシンセ

(0:00~)「シュワーッ」というSE
(シンセか、シンバルを前後反転したような音)
に続き、

(0:02~)「シャリン」と
金属が落下したような音が鳴り、
ボーカルが歌い出します。

楽器の編成は
・Aメロ前半(0:00~0:18)=ボーカル+シンセのみ
・Aメロ後半(0:18~0:34)=ボーカル+シンセ+Kickドラム

しかもそのコードを鳴らすシンセは
アタック(発音の瞬間)を潰す処理がされ
「ジュワ~」っと遅れて音が立ち上がる


そのため「リズムが曖昧」に聞こえます

また、通常のアコースティックピアノや
エレクトリックピアノに比べ
「コード感もやや曖昧」です

揺らぐボーカル/3連符(のような)フロウ

歌い出し
「窓のない 無機質な 通路」
箇所を譜面化すると、こんな感じ

画像1

※譜面は筆者が独自に採譜したもので、正確性の保証は致しかねます。
楽曲の権利はavexならびに作詞作曲者に帰属します。

そして、下記の
<赤丸>で囲った音符「揺らいで(訛って)」
いるように聞こえます

画像2

「窓<の>ない 無<機><な> 通路」

自分でメロディを打ち込んでみた所、
「9~18ticks」程度「後ろ」に、
リズムを取っているように聞こえました。

この曲は
BPM=約115
4分音符1拍=約0.52秒
1ticks=約0.00109秒


ですので
「0.01~0.018秒」程度、意図的に「遅れて」
上記<赤丸>の音符を歌唱している
のではないか
と思われます。

この微妙なボーカルの揺らぎが、
リズムが曖昧なシンセと重なり
「不安定さ」を強調
しています。

※3連符フロウについては
前回書いたコチラの記事でも触れてます※

進む人の大半は虚ろ~閉塞感のある歌詞

続いて、
1番Aメロの歌詞をcheckしましょう

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窓のない無機質な 通路
進む人の 大半は 虚ろ
蒸した熱気にめくる フード
動く 空調

記憶の埃を はたいて 
踏み出す未知への 境目
大きな警告灯が 回転 
響く サイレン

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閉塞感のある歌詞の情景描写が、
シンセ/ボーカルの揺らぎと合わさり
「不安定さ」「緊張感」を更に演出しています。


・韻律
1~8小節目
「通路」「虚ろ」「フード」「空調」
いずれも母音「uuo」で脚韻

9~16小節目
「はたいて」「境目」「回転」「サイレン」
いずれも母音「(a)aie(n)」で脚韻を踏んでいることも、
見逃せないポイントです。

揺らいだサウンドの中で
脚韻が歌にリズムを作っています。

また、
前半、母音「uuo」は、
やや口をすぼめた形


後半「(a)aie(n)」は
前半に比べ、口が開き、明るく響く韻律
であり、
Bメロ以降の「解放」を予感させます。

開花の兆し~解放感のあるBメロ

1番Aメロの最後
「響くサイレン」でコード「A」が鳴り
メロディは「G#音」
(major7th=やや不安定な響き)
に着地。

続く、1番Bメロ冒頭
「湿った音に混じる 新しい開花の兆し~」
は同じくコード「A」
メロディは大きく6度の跳躍をし「E音」
(5th=安定した響き)から開始します。

「窓のない」「蒸した熱気」から
「踏み出し」→「衝動が抑えられない」
シーンまで、
1音1音の意味と、歌詞が丁寧にシンクロするよう
配置されています。

素晴らしいです!
ファビュラス!

打ちあがる花火~力強いサビ

最後に、1サビです。
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やがて 目覚め もう過ぎ去った 雨風
夜の背まで 照らしだす朝陽 打ちあがる花火
追いかけ さあ行こう すべてを 解放
どんな ときも 自分でいたい

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ここでは
「目覚め」「雨風」「背まで」が
母音「(a)eae」で脚韻。


「さあ行こう」「解放」が
母音「(a)aiou」で脚韻を踏んでいます。


休符が多く、隙間の多いメロディですが
メロディの音型/韻律/言葉の意味が
強く結びついているため
グッと引き締まった力強い印象
です。

通常、J-popのサビは
「過圧縮」というか、
メロディや楽器の音などを
過剰に詰め込んで派手にする、
というケースが少なくないのですが

この曲は、
「引き算」が圧倒的に上手く
日本語のPOPS・ダンスミュージックでありながら
ホンモノ感があり、
色気があります!

※(1:24~)コーラスパート
「Be Myself Always be myself~」以外、
A~B~サビまで
全て日本語詞で書かれています!!
コレはスゴい~!※

『Be Myself』の作詞作曲は、Nao’ymtさん。
安室奈美恵『Baby Don’t Cry』
J Soul Brothers『J.S.B is Back』などをプロデュース。
素晴らしい曲沢山ありますが、
シングル「Blizzard」アルバム「球体」など
三浦大知さんと組んでいる楽曲が
特に攻めてる感じがします。

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いかがでしたでしょうか??

この記事、「全文公開+投げ銭」スタイルなので
もし「結構面白いじゃん」と思ってもらえたら
チャリーンしてもらえるとウルトラ助かります


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よろしくお願いします!!!!

それでは! 松岡(@iamkisimen)でした!!

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※歌詞・コード譜参照:楽器ME※

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