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リーダーシップなんて自分には関係ないと思っている人に読んでほしい

普段、総合商社で働く傍ら、土日や平日夜の時間を使ってNPO団体の運営をしているのですが、今回メンバーの育成のために「リーダーシップ研修」を実施したので、研修の内容や学びを書きたいと思います。
(普段の仕事では人事系のことには一切関わっておりません)

今回の研修では、「採用基準」という本を題材にしました。
本のタイトルから、就活向けの内容なのかな?と思ってしまうのですが、中身は完全に「リーダーシップ論」について書かれたものになります。

皆さんはリーダーシップと聞いて、何を想像しますか?
なんか意識が高い人?自分には関係なさそう、、等でしょうか?
自分自身そのように思っていました。

「採用基準」では、リーダーシップは組織のメンバー全員が持っているべきものであると言っています。

私は、この本を学生時代に読んで、自分の人生を切り開く1つのきっかけになったと思うので今回採用しました。(もちろん就活にも役立ちます!)

また、リーダーシップは組織で結果を出すために最も重要な考え方です。
ボランティアにかかわらず、会社や部活・サークルなどでも役に立つと思いますので、自分の所属している組織をより良くしたいと思っている方に読んでいただければ幸いです。


1. 背景

まず、このような研修を行った背景ですが、運営しているNPOの中で主体的に動けているメンバーがまだまだ多くなく、生産性が上げられていないと感じたからです。

多くの場合NPO団体では自ら主体的に動くという人は少数で、ほとんどの人が運営者にお願いされたことを気が向いた時にやるという感じになっていると思います。
(会社でも少なからず同様の問題があるかと思います。)

しかし、それでは世の中にインパクトが出せず、実績に繋がらないので、関わっているメンバー自身も成長できないし、受験や就活、将来のキャリア等に役立ちません。

日本では、ボランティアは多くの場合そのような状況かと思いますが、どうも欧米ではそうではないらしいです。

欧米では、Google等のトップ企業と並んでエリート人材がNPOを就職先として選ぶようになっており、誰でもできる「単純作業」ではなく、高度なスキルを生かして生産性高く社会貢献に取り組んでいるようです。

プログラミングが得意な人は社会問題を解決するためのアプリを開発したり、マーケティングやSNS運用を担当する人がいたり、アートやデザインを通じて社会貢献をする人もいます。

このように、NPOやボランティアについても関わる人の多様な才能を生かして活動することが理想的だと思います。

特に環境問題はあらゆる問題が複雑に絡み合った、いわゆるWicked Problem(=厄介な問題)であるため、解決するためには高度な専門性が必要です。

そのような合理的で生産性の高い、国際標準のボランティア運営を日本でやりたいと思い、今回のリーダーシップ研修を企画しました。

リーダーシップの話は、ボランティアにかかわらず、会社や部活・サークルなどでも役に立つと思いますので、自分の所属している組織をより良くしたいと思っている方に読んでいただければ幸いです。


2. 研修の内容

研修内容は以下の通りです。

1. 事前に採用基準という本を全員に読んでもらう
2. 事前入力フォームに入力してもらう
3. 勉強会を実施

 ・各自学びになった箇所とその理由を共有
 ・分からなかった所、納得できなかったことを共有・話合う
 ・「リーダーシップ」とは何か一言で説明してもらう -- ★
4. 振り返りフォームに記入してもらう


3. 勉強会の中で、「リーダーシップ」とは何か一言で説明してもらう、というのがありますが、これが最も重要です。
なぜかと言うと、あらゆる状況において常にリーダーシップを最適な形で発揮するためには、一言でそれを言えるくらいに抽象化して理解している必要があるからです。
(もちろん抽象化された”答え”だけを暗記しても全く意味ないです)

「採用基準」の本の中では、リーダーシップを発揮するために、「議論の中ではこのように振る舞おう」、「ホワイトボードの前に立とう」など、読者が理解しやすいように具体例を使って説明していますが、これを丸暗記することにあまり意味はありません。

現実世界で直面するシチュエーションは無限にあり、2つとして同じものはないので、それらの具体的な状況を「こういう場合はこうする」と丸暗記しても対処しきれません。

そうではなく、下図のように抽象概念と具体例のセットを1つの知識体系として結びつけて理解することが重要です。

この具体と抽象の話も話すと長くなってしまうので、興味がある方はこちらの本を参考にしてみてください。

抽象化は人間の知性そのものなので、これを習得するといわゆる「地頭力」が鍛えられ、飛躍的に知的パフォーマンスが向上します。
この研修のメインテーマはリーダーシップですが、自分の頭で考える力を鍛えることも大事な目的です。


3. 研修を通じて学んだこと

リーダーシップとは何かという抽象的な話はどうしても難しいので、個々人によって理解度はまちまちだったと思いますが、メンバーみんなの意識が変わり、活動の中でもみんなの取り組み方が変わったように思います。

これはリーダーシップ以外のあらゆる事柄に共通していることですが、やはり本質を理解してもらうのは難しいなと思いました。

多くの書籍では、何かのテーマについて解説するとき、それの具体例を並べることで理解しやすくしていますが、その具体例と抽象化された概念(=本質)を繋げられるかどうかは人それぞれだと感じました。

多くの人が個々の具体例を丸暗記する方向に走ってしまいます(こちらの方が頭を使わないので楽だからだと思います)。

早慶・MARCHのような優秀とされる学生でもこのように自分の頭で考えられる人はあまり多くないと感じますが、決して日本の学生が悪いわけではないと思っています。

日本の教育だと教科書に書いてあることを丸暗記することに慣れてしまうからだと思います。
たとえ早慶でもテキストを10冊くらい丸暗記してしまえば受かってしまいます。(理系の数学などは丸暗記では流石に難しいかもしれませんが)

しかしながら、実世界において重要になってくるのは自分の頭で考え、自分で課題を設定する力です。これからの時代は特にそれが顕著になってきます。

ほとんどの学生が就活で挫折を味わい、絶望してしまうのは、このように大学に入るまでと就活以降で必要とされる能力が全くもって違うからだと思います。

学校教育では「リーダシップ」についてほとんど考える機会がないのに、就活になると急にリーダーシップの経験が問われます。
それまで先生の言う通りに丸暗記することを求められてきたのに、急に考える力が求められます。

そのため、就活や仕事の中で挫折しないようにするには、大学生のうちにそれまでの教育で慣れてしまった価値観を転換し、実社会で通用するものにアップデートすることが必要だと思います。

私たちのNPOでは、そのような人材育成も大事な社会貢献活動の1つとして取り組んでいきたいと考えています。

国際水準の活動を通じて学生メンバーが成長し、教育と社会のギャップに戸惑うことなく、自分の人生を主体的に生きていけるようにしていければと思っています。





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