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#非倫理的な行動

非倫理的な行動と心理学の実験:スタンフォード大学監獄実験

非倫理的な行動と心理学の実験:スタンフォード大学監獄実験

二つ目の心理実験は1971年にスタンフォード大学で行われた実験である (Haney et al. 1973; Zimbardo 2007)。この実験を行うにあたり、スタンフォード大学の地下に実験のための刑務所が作られた。

実験の目的は、看守と受刑者の間に生じる心理的効果を観察することで、刑務所という空間においてこの制度が行動に与える影響をまとめることである、とされていた。

実験の参加者は新聞広

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非倫理的な行動と心理学の実験:ミルグラム実験

非倫理的な行動と心理学の実験:ミルグラム実験

ここでは、非倫理的な行動の研究として最も有名な心理学の実験を紹介する。一つ目の実験はアメリカのイエール大学の心理学者、スタンリー・ミルグラムによる実験である (Milgram 1974; Milgram 1963)。この実験は人が他者に服従してしまうメカニズムを解明しようと試みたものである。具体的な実験手順は以下の通りである。

この実験は、教師役、生徒役、実験監督者の3名によって進められる。まず

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腐った樽:倫理的意思決定に影響を与える状況要因

腐った樽:倫理的意思決定に影響を与える状況要因

人が倫理的意思決定をするか否かは個人要因のみに依存しているわけではない。むしろ、素晴らしい人であっても状況によっては非倫理的な行動を起こす可能性もある。すなわちその人が置かれていた状況が非倫理的な行動を促す(腐った樽)、ということである。よって、ここではこうした状況要因を整理する。

第一の状況要因は倫理的風土 (Ethical Climate) である。倫理的風土とは、何が受け入れられ、何が受け

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ビジネスエシックス:非倫理的な行動

ビジネスエシックスの研究分野の一つに非倫理的な行動がある。つまり、人はなぜ悪いことをしてしまうのか、ということである。企業の不祥事なども非倫理的な行動の研究分野である。

非倫理的な行動の原因は大きく分けて三つある。

1. Bad Apple

第一に、ヒトが非倫理的な行動をしてしまうのは、その人が悪人だからである、という論理である。これを、専門用語ではBad Apple という。確かに、非倫理

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