うろ覚えむかしばなし 食わず女房

あやふや度 ★★★☆☆

むかし、あるところにケチな男がいました。
男は結婚を勧められるといつも、「飯を食わない嫁さんなら良いよ。飯を食う女なら嫌だ」と言っていました。
そんな女性を紹介できる人はいなかったので、男は未婚のままでした。

ある冬の日、男のところを旅姿の一人の女が宿を求めて訪ねてきました。
男は女を泊めてやりました。
聞くと、行く当てもない旅だと言います。女は、自分は飯を食わない女だと言いました。
男は、それはちょうど良いと思い、その女を嫁にもらいました。

女は働き者でした。
せっせと家事をして、食事はせず、男が飯を食うのをにこにこと眺めていました。
男は、理想的な嫁をもらったと嬉しく思いました。

ある日、男は米の減りが妙に早いことに気が付きました。
もしや、女が隠れて飯を食っているのだろうか。
疑わしく思った男は、夜寝ないで、隠れて女を見張ることにしました。
真夜中のことです。ぺちゃぺちゃと音がするので男が物陰から覗いてみると、女が握り飯を握っては、頭の後ろの口に放り込んでいるところでした。
男は、思わずあっと声を出してしまいました。
すると女はさっとどこかへ逃げて行き、二度と姿を現しませんでしたとさ。


昔話の好きな子供でした。でも、あの頃読んだ昔話は今や記憶の中でうろ覚えのあやふやになり、混ざり合いごちゃごちゃになっています。
きちんとした話を目にしてしまう前に、うろ覚えの状態の自分の中の物語を書いておこうと思いました。
きちんとしたものを目にしてしまえば、うろ覚えの状態には戻れないのですから。

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