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【短歌一首】 軒先をかすめ轍(わだち)をきしめかせ江ノ電運ぶ午後の安寧

軒先を
かすめ轍(わだち)を
きしめかせ
江ノ電運ぶ
午後の安寧

短歌は最高の散歩散策セラピー&コーピング。

いつ乗っても江ノ電は最高にいい。混んでいても、空いていても、朝でも昼でも夕方でも。最初に乗ったのは幼稚園の頃。祖母が用事でたまに鎌倉や江の島に行っていたが、そのときによくくっついて行った。中でも江ノ電で長谷の大仏を見に行ったのは今でもよく覚えている。

江ノ島電鉄のホームページは、「古都鎌倉と湘南江の島を走り続けて百余年。」と書いてある。「百余年」とは、本当にすごいことだな。
【江ノ島電鉄公式サイト】↓


鎌倉駅

鎌倉駅の広告には、40年くらい愛読している漫画家・西岸良平さんの鎌倉を舞台にしたミステリー漫画「鎌倉ものがたり」も出ている。 主人公の作家・一色正和氏と妻・亜紀子さんの姿も見える。この漫画のおかげで、よりいっそう鎌倉や江ノ島が大好きになった。

江ノ島駅

子供のころから江ノ電が大好き。学生のときも友人や彼女と何度も乗った。社会人になってからも数えきれないほど乗ったな。なぜ、こんなにも好きなのかと改めて考えてみた。
いろいろあるけど、まずは江ノ電の乗っているときには、時間がとてもゆったりと進んでいる感じがして、心や体がポカポカしてきて、安らいだ幸せな気持ちになるからだろう。

江ノ島駅

これだけ技術が進歩して、どんどん物も街も人もめまぐしるしく変化していく中で、江ノ電の変化のスピードはとてもゆったりしている。走るスピードや音は昔よりもなめらかになったけれど、その成長スピードはとても自分の心と体にフィットする。そして、懐かしい記憶もじっくりと蘇らせることができる。鎌倉によく一緒来た、今は亡き祖母や、親友との思い出も。

 江ノ電は単軌道

江ノ電は、駅での分岐などを除いてかなりの部分が一本の線路(単軌道)。反対路線とは駅で時間を調整して運行。これも江ノ電を大好きなポイント。単軌道だから反対路線と譲り合わなければいけないし、走り方もゆったりしてくる。民家の軒先との距離もほんのわずかで、この軒先をかすめるような感じで進むのもまた素敵。

江ノ島駅

江ノ島駅直前のカーブは、江ノ電を斜めからじっくり眺めることができる貴重な場所。カーブを走る江ノ電の曲線が美しい。

江ノ島駅直前のカーブ

江ノ電の轍(わだち)の響きやひしめきも大好きなポイント。ゆったりとした走りと相まって、ギシギシ、キィンキィン、グゥワンゴォワンいう音が心地よい。特に、隧道(ずいどう)とよばれるトンネルをゆくときには、暗闇に吠えている。

 
江ノ電で線路がこれだけたくさん見られるポイントは貴重
鎌倉から江ノ島駅についた列車
江ノ島駅から藤沢方面に向けて出発
江ノ島駅に入ってくる鎌倉行きの江ノ電
鎌倉行き

鎌倉行に乗ると、江ノ島駅の次は腰越駅。腰越 ⇒ 鎌倉高校前 ⇒ 七里ヶ浜 ⇒ 稲村ケ崎 と海を見ながら走る。 腰越あたりから車窓いっぱいに海が広がる瞬間はいつもドキドキワクワクする。本当に魅力的。

江ノ島の向こうに夕日が沈む

江ノ電の大好きなポイントの一つとして、海沿いで見る夕焼けと落陽。江ノ島方面に沈む夕日を見ていると、人生、こんな感じの安らいだ気持ちで一日一日を過ごしていきたいな、と心から思う。

七里ヶ浜あたりから見る夕日

そういえば、平日の夕暮れ時に何度か鎌倉高校前駅から、高校生がたくさん江ノ電に乗ってきたことがあった。さほど混んでいなかった車両が一気に高校生の人いきれでいっぱいになる。とたんに高校生たちのおしゃべりで車内は騒然となるが、この活気がまた若々しく、瑞々しく、懐かしい。 もし、自分が鎌倉高校に通っていたらどんな風に過ごしたのか。毎日江ノ電に乗ってるんだもんな。

鎌倉駅手前の交差点

漫画家・西岸良平さんの「鎌倉ものがたり」という鎌倉を舞台にした大好きなミステリー漫画をもう40年くらい読み続けているが、その中にもよく江ノ電が登場する。

犯人が夜に黒ずくめの恰好で沿線沿いの民家の軒先から江ノ電の屋根に乗り移ってアリバイ工作をしたとか、江ノ電の描写がとても丁寧でマニアックで好きだ。

なかでも一番興味深いのが、江ノ電には開通した当初は今よりもずっと多い駅が存在していたこと。 現在の江ノ電では、約10㎞の路線の中に15個の駅があるが、15駅でも結構多いが、全線開通した当初その数は39駅もあった。霧に包まれた江ノ電の停車した駅が「姥ヶ谷(うばやがつ)」という今はない駅で、うとうと居眠りしていた雑誌編集者がその駅で降り、その時代の女性と運命的な出会いをして、そのまま昔にタイムスリップして一緒に暮らし、有名な文豪となるというストーリー。

これだけ何十年もたくさん江ノ電に乗っているのだから、どうか一度くらい昔の駅へのタイムスリップを経験させてほしい。(ちょっと怖いけど)

猫間英介

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