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【短歌一首】 蒸し風呂の正午の駅は苛立ちと怒りに満てる全面運休

蒸し風呂の 
正午の駅は  
苛立ちと
怒りに満てる
全面運休

昨日(6月26日)は、またまた蒸し暑かった。
梅雨というよりも、もう夏ど真ん中なのではないかと思うくらい。

昼に仕事の外出で駅に着いたら、駅には黒山の人だかり。構内放送からは、「沿線で発生した火災の影響で、上り下りともに現在運転を休止しています。復旧までは数時間かかる見通しです。」ときた。えっ、嘘だろ、これから次の仕事があるのに。

駅ナカは蒸し風呂状態

駅ナカでは、人々の嘆き、諦め、怒り、困惑、八つ当たりの声がどんどん増していく。駅員の皆さんがその収拾に一生懸命奔走している。その中を構内アナウンスは延々と同じフレーズを繰り返す。

「沿線で発生した火災の影響で、上り下りともに現在運転を休止しています。復旧までは数時間かかる見通しです。」

自分も次の仕事への時間が気になり、イライラが増していく。ここは「忍」の一字で深呼吸で打開策を考えよう。

遅延1時間以上の表示

電光掲示板には、「遅れ1時間以上」の文字が虚しく赤く輝く。1時間以上って一体どのくらいなのか。

突然、駅構内に「早く払い戻ししろ、何やってんだ、お前じゃなくて責任者連れてこい。」という声が響き渡った。

大声のする方に目をやると、長距離列車の券売機で切符を買ったと思われる初老の男性(推定年齢65歳〜70歳)が、券売機をどんどん叩いて文句を言っていた。すると券売機側の小窓が開いて中から女性駅員が対応する声が聞こえてきた。しかし、その男性はその対応が事務的で気に入らなかったのか、怒りの声はさらに大きくなるばかり。

ついに「もういい、お前じゃ話にならん」と言って、小窓に殴りかかったようなそぶりを見せて立ち去った。(もしかしたら、小窓の中の人か物にヒットしたかも)

長距離切符の券売機

しばらくするとその男性は、今度は駅構内で忙しく乗客対応をしている駅員を捉まえてまた同じように罵詈雑言を浴びせ、さらに腕を掴むなどしていた。

いかん、いかんぞ、この状況は、カウンセリングやコンプライアンス問題などで、自分が専門としている分野の一つの「ハラスメント問題」、その中の「カスタマーハラスメント(所謂「カスハラ」)」そのもの。 心の中で「とっつぁん、もうそのくらいで止めておけ、何とか堪えてくれ、このまま行くとハラスメントどころか「暴行罪」や「傷害罪」で逮捕されてしまうぞ。」と思っていた。

しかし、その男性は駅員の腕を強く引っ張り続け、持っていた鞄を振り回し始めた。駅員は揉み合う形となったまま、だんだん駅出口そばの交番の方向に向かっていき、そのまま交番にいる警察官に暴力を振るわれたことについて事情を説明して交番を後にし仕事に戻っていった。

多分、長距離列車の指定券・特急券を買ったのに、電車遅延で時間が間に合わなくなってしまい、その焦りと怒りと苛立ちが爆発してしまったのだろう。

30分ほどしてバスに乗り換えるために駅を出て駅出口そばの交番に目をやると、先ほどの男性が、警察官に自分の言い分を大きな声と身振り手振りで説明していた。

その後どうなったのだろう。 それにつけても蒸し暑い駅の午後だった。

猫間英介




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