【短歌一首】 苔むしし山門行けば金の蛇吾を導き羊歯(シダ)に消えたり
鎌倉山ノ内にある「浄智寺」は臨済宗の鎌倉五山の一つで、1281年の創建。
浄智寺に来るときは山門の横から寺の敷地内にある坂道を進み、源氏山に登ることが多い。
寺の境内の裏山がそのまま源氏山につながっているため、高い樹木が生い茂り、その陰や根元には低木層が連なり、さらに地面付近ではシダ類や苔がびっしりと岩や石や階段を覆っている。この三層の深い緑と湧き水が相まって、浄智寺の山門はいつ来ても濡れて湿っている。まるで湿地帯のように。
もともと鎌倉は谷戸(やと、やつ)と呼ばれる、突き出た丘と丘とに挟まれ水流が見られる土地が多くある。そこにカエル、ヘビ、カメ、ムカデ、ゲジゲジ、ナメクジなどが集まってくるので、鎌倉で谷戸を歩く時には生き物観察もしている。
この日は参道を登っていると池の端から体長50センチくらいの小型のシマヘビがスルスルと出てきたので追いかけてみたが、シダに囲まれた低木層に消えていった。
シマヘビは日本各地に広く分布しており、通常は淡黄色の体色に4本の黒い縦縞模様が入っている。草むらなどにいるときはそれほど明るい黄色ではないが、一旦、水の中に入ると鮮やかな黄金色に見える。子供の時に田舎で池から出てきたシマヘビを見た時はその金の輝きが衝撃的だった。
今回も池の端から出てきたところを目撃したので、かなり鮮やかな黄金色に近い黄色だった。
鎌倉に来て、普段の生活ではあまりお目にかかれない生き物を見つけると、とても新鮮なワクワクした気持ちになる。
猫間英介
鎌倉の歌を集めました。
生き物の歌を集めした。
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