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【短歌一首】 打ち寄せし木切れ残して引く波よ吾の心の澱こそ攫へ

打ち寄せし
木切れ残して
引く波よ
吾の心の
澱(おり)こそ攫(さら)へ

先日、大雨が降った直後の鎌倉材木座海岸。
たくさんの流木が砂浜に打ち寄せられていた。
流木はどこから流れついたのだろう。

大雨の海岸 

流木(りゅうぼく)とは、川や海に流れ込んだ木々やその一部、またはそれらが河岸や海岸に打ち上げられたもののことを指す。

この日海岸に打ち寄せられた流木は、どこからどのようにこの材木座海岸に辿り着いたのだろうか。

かなり大きい流木

流木の発生する原因にはいくつかある。
典型的なパターンは、河川の上流部や中流部で、山間部で発生した台風、強風、大雨、地滑り等の土砂災害などの自然災害により倒れた木が川に流れ込み、大雨などにより水かさの増した川の流れに乗って河口から海に流れ込む。そして波によって浜辺に打ち寄せられる。

様々な種類の流木

この日海岸に打ち寄せられた大小さまざまな形の木切れは、どこの山からどの川を流れて材木座に流れ着いたのだろう。

一番近い川だと、神奈川県朝比奈峠付近を源流として鎌倉の街中を流れ、由比ガ浜と材木座海岸を分けて相模湾に注いでいる滑川(なめりがわ)が思い浮かぶが、そこを流れてきたのかもしれない。

それともどこかもっと離れた場所から漂着したものである可能性もあるなどと、どんどん想像が膨らむ。

至る所に木切れ
木の骨のよう

材木座海岸近辺に在住の方からの情報によると、この日から数日で材木座海岸は流木に埋め尽くされていたらしい。地元の方々にとってはこれからの夏の行楽シーズン、流木の撤去は頭を悩ませる問題の一つだろう。波は流木を砂浜に打ち上げはすするが、帰る時に海の中に持ち帰ってはくれない。

ところで流木の中には非常に高額で取引されるもあるらしい。特に大きな流木で樹皮や小枝などが削ぎ落とされてもしっかりと原形を留めているものは、大雨、土石流、荒波などの過酷な自然現象を乗り切っているので材質的にも非常に強固であると評価される。また、流木の形、質感、色などさまざまな角度から芸術的な趣や侘び寂び感などを評価されることもあるとのこと。 (なお、流木の持ち去りに着いては地域によっては一定の法令上の制限があります。)

そうすると、海や波は川から流れ込んできた木々から余分なものを削ぎ落とし、研ぎ澄まされたコア・エッセンスの部分を浜辺に打ち寄せて置いていくという、観念的な勝手な見方もできるかもしれない。

荒れた海と対峙する時、いつも心はどこか海に救いを求めている。打ち寄せる波に心が洗われたらいいな、などど甘い期待も抱いたりする。砂浜に残された流木のように、コアの大切のものだけを残して、余計な迷い、悩み、苦しみを引き潮が削ぎ落としてさらってくれれば良いものを。(大甘!)

猫間英介


鎌倉や江ノ島についての短歌を集めました。



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