誤訳訂正委員会②Tout, tout pour ma chérie/Michel Polnareff

東京外国語大学卒の筆者による、誤訳訂正コーナーの時間です!

第2回は、フランスのシンガーソングライター、ミッシェル・ポルナレフの「シェリーに口づけ」を取り上げます。

今回の訂正箇所は、ずばりタイトルです。

えっ? 原題と邦題が違うのは、誤訳とは言わないって?

そんな貴方に、驚愕の事実をお教えしましょう。

「シェリーに口づけ」の歌詞に、シェリーなる人物は1回も登場しないのです!

なぜなら、«ma chérie»というフランス語は、「私の愛しい人」という意味の呼びかけだからです。

よって、«chérie»は人名ではありません。そもそも小文字で始まってますし。

ちなみに、«ma chérie»は女性形なので、これは女性への呼びかけだと分かります。

愛しい男性へ呼びかけたい場合は、«mon chéri»と言ってみましょう。

また、原題に「口づけ」を意味する単語はありません。

原題の«Tout(tout)»は「すべて」という意味で、«pour»は「~のために」という意味です。

よって、

 

  Tout, tout pour ma chérie

 

は、

 

  すべて、すべてを愛しい人のために

 

という意味になります。

まあ、「すべて」なのだから、「口づけ」も含まれるのでしょう!

参考になったでしょうか?

では、次回をお楽しみに!!

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