読了！石田衣良「池袋ウエストゲートパークⅣ,電子の星」

《粗筋》
アングラDVDの人体損壊映像と池袋の秘密クラブの関係は？マコトはネットおたくと失踪した親友の行方を追うが……。通り魔にギャングの息子を殺されたジャズタクシー運転手に告知された悲惨な真実とは？　「今」をシャープに描く、ストリートミステリー第４弾。切れ味、スピード、さらに快調。


《感想》
IWGPシリーズ読破すれば、アングラの浅いところも、深いところも、泳いだのと同じになるんじゃないかなってくらいアンダーグラウンドがリアルに描かれている。怖い部分もあるけどやっぱり俺はストリートの文化が好き。


《引用》
「たのしい時間っていつか過ぎちゃうもんだろ。おれたちも歳をとり、いつかストリートライフってやつから足を洗わなきゃならなくなる」（P37）

おれたちの生活はこうしてどんどん便利になる。余ったはずの時間はみなどこに消えてしまったのだろうか。あんたは夕日が沈むのや雲が空を横切るのを最近ゆっくり眺めたことがあるだろうか。このひと月でほんとうに気持ちがかよう誰かさんと心をひらいて話をしたことがあるだろうか。（P57）

「ぼくはもう身体を売りたくない。うちに帰りたい。学校にも行きたいし、高校にも進学したい。いつかうちの家族をしあわせにしてあげたい」（P173）

いい本には、読む者を別世界に連れていく力強い翼がある。幸福なる少数への贈り物だ。（P290）

負け犬にだって牙はあるし、時にはかみつくことだってできる。あたりまえの話だった。（P302）

（2021/5/22）