トイカメラこそ至高(だった)
「一眼レフがほしい」
小学生の頃から綺麗な風景のポストカードを集めるのが好きだった。親のおさがりのデジカメを使って、近所や旅行先で自ら写真を撮るようになったのは、それがきっかけだ。
高校に入学した年の誕生日、私は「一眼レフがほしい」と父に頼んだ。今思えばなかなかの強欲っぷりだ。しかし、ありがたいことに買ってくれるとのことだったので、どのカメラにするか、私は嬉々としてインターネットで調べた。そこで偶然見つけたのが「トイカメラ」の存在だった。
LOMO LC-Aとの出会い
当時、LOMO LC-Aで撮影した写真を投稿できるSNSサイトがあったと記憶している。そこにはLC-Aの使用方法や魅力が詳しく記載されており、LC-Aユーザーの写真もたくさん見ることができた。写真の縁が暗くなるトンネル効果や、青みがかっていて懐かしさを感じられる独特の雰囲気に、私は一瞬で魅了された。
一眼レフがほしいという気持ちはどこへやら、そもそも使いこなせる自信もなかった私は、すぐさま「やっぱりこれ(LC-A)がほしい」と父に伝えた。父としても経費が浮いて一石二鳥だっただろう。
それが私のトイカメラデビューだった。以後、カメラと言えばトイカメラが正義と信じてやまなかった。デジタルカメラや一眼レフカメラで撮られた写真は写実的すぎて、苦手意識さえあった。
一年遅ければ、手に入らなかったかもしれない
私がLOMO LC-Aを手にしたのは2005年の末のこと。実は、この年の4月にLC-Aは生産終了している。トイカメラを知ったばかりの私がそんなことを知るはずもない。運よく新品を手に入れることができたが、あと一年遅ければ入手困難になっていたかもしれない。
私が持っているのはロシア製のカメラなのだ。当時の私はさぞ喜んだことだろう。「中国製のカメラ」よりも「ロシア製のカメラ」のほうが、なんとなくおしゃれに感じていた。と言うか、今もそう感じている。これはあくまで個人的な感覚のはなしだ。
数年後、後継機としてLC-A+が発売されたが、LC-Aで満足していた私の琴線に触れることはなかった。学生の分際で一眼レフを欲しがっていた私にも、それくらいの分別はあったらしい。
でもやっぱり一眼レフもいいよね
LOMO LC-Aから私のトイカメラ人生は始まった。コンデジ等のカメラも併用していたが、長い間、「カメラといえばトイカメラ一択」だった。
そんな私だが、なんと昨年、一眼レフ(PENTAX K-70)を入手した。使う頻度もこちらのほうが高い。
変わり身の術もいいところだが、これについてはまた別の機会で話す。
トイカメラ、コンデジ、一眼レフ、どれも別の魅力があるのだ。「みんなちがって、みんないい」ということに、私はようやく気づいたのかもしれない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?