新テニスの王子様JSQ3月号感想&考察〜一体どうなる越前家の運命!?〜

さあ、ついにやって来ました「新テニスの王子様」のJSQ3月号、もう気になって気になって仕方なかったのでフライングで購入し読みました。
感想自体は昨日に書き上げたものですが、一応発売日自体は本日なので本日に合わせて書きますが、ネタバレ前提の記事となります。
とりあえず未読の方はここで引き返してください、読んでしまった苦情が来ても当方は一切の責任を終えませんので、閲覧は自己責任でお願いいたします。
結果からいうと、本筋はまだ進んでいないのですが、相変わらず許斐先生らしくとんでもない爆弾を放り込んできましたのでとても楽しみです。

決勝に入ろうとする段階でも、単なる回想でも一切攻めの姿勢を崩さずに読者の予想を裏切る展開を用意してきますが、まさかこんな展開にするとは……。
まず結論からいえば、この展開からもわかるようにスペイン戦はやはり「精神」で来るつもりでしょうか、最後の最後に一周回ってとんでもないところに着地したものです。
今回はあのアラメノマの伏線回収がなされたり、スペイン側にとんでもない情報が次々出てきたりと凄いことになっていますが、個人的にはそこよりも越前家の運命が気になりました。
まあこの中で遠山金太郎に関しては相手側の恨みを買うことになって新たなフラグが成立したのですが、それ以上に気になるのがやはり越前家の運命です。

今回はもうここに触れずにはいられないのですよね、やっぱり第1巻から丁寧に紡ぎ上げてきた越前家の物語がどうなるかがもう今最大の関心事となっています。
私が散々書いてきたテニプリ感想や考察の記事をご覧いただければわかると思いますが、テニプリで一番のお気に入りはやっぱり主人公・越前リョーマなんですよ。
次に手塚国光との「青学の柱」にして将来最大のライバルとなり得るかもしれない関係性、そして3つ目に南次郎・リョーガを取り巻く越前家の家族模様が気になります。
それが今回まさかの南次郎がスペイン監督疑惑が出たことによって(あくまでも「疑惑」なので真相は不明)、越前家の運命がどうやら不穏な方向に行きそうです。

これはやられました、個人的には関東立海戦の越前と手塚の伏線回収の時以来の衝撃であり、やっぱりこういうところ許斐先生は昔から上手いです。
物語というのは「どうなるんだろう?」と思わせたらその時点で勝ちですが、今回の話を読んで個人的には越前家の物語がどう収束するのかが気になります。
先生の中で一番注力して描きたいのは徳川VSメダノレでも不二VSバンビエーリでも、仮面のチビVS遠山でもなく、やっぱりリョーマVSリョーガなんですよね。
なにせファンブックでも「特別」とインタビューで言うくらいですし、何だかんだ「王子様」という作品の根幹というか土台を作り上げてきた主人公じゃないですか。

色んなスパイスを横から斜めから放り込んで読者を引っ掻き回す許斐剛先生ですが、核の部分は非常にシンプルで越前リョーマと手塚国光なんですよ。
実力の上でどれだけリョーマや手塚より強い設定のキャラが出てこようが、先生の中でずっと最強の価値観は「テニスをシンプルに楽しんでいる人こそが最強」であり、孔子先生のあの名言が根底にあります。
だから平等院VSボルク、徳川VSメダノレのようなド派手にぶっ飛んだ異次元の能力バトルテニスももちろんしっかり描きますが、一番描いてて楽しいのはやはりリョーマ関連の物語でしょう。
読者も何だかんだ越前リョーマと手塚国光という2人の柱があってこその南次郎でありリョーガであり、そして遠山金太郎に不二周助、跡部景吾様といった感じで読んでいると思います。

さて、「南次郎がスペインの監督ではないか」疑惑ですが、個人的見解ではその可能性はゼロではないにしても限りなく低いでしょう。
だって、本当にそうだったとしたらいくら南次郎でももっと早めに動いているでしょうし、あのコマはお得意のミスリードではないかと思います。
旧作からそうですけど、先生って物語の核心部分を読ませないようにするために敢えてこういうブラフを入れることはままありますから。
それに南次郎が本当に監督だったとしたら、リョーガが散々色んな選手のテニスを奪ってきたことを黙認してきたことになり、南次郎共々最低ってことになりますから。

あと、南次郎とリョーガがタッグで日本代表の敵に回るとなった場合、誰にとって一番きついかってリョーガだと思うんですよね。
何だかんだリョーマの強さはあくまでも南次郎という根幹ありきで形成されていて、そこに原作42巻から積み上げてきたものと新テニで得たものが合わさって今のリョーマがあります。
いくらリョーマのテニスが南次郎の模倣の域からまだ抜け切ってないにしても、この段階で南次郎が悪としてリョーマに立ち塞がるのは精神的に堪えるでしょう。
リョーガにとってもリョーマの大事なものを奪ってしまうことになるわけで、もう既にリョーガの精神もこの辺が限界だと思います。

なのでここではそれ以外の説を考えたいのですが、やはり現段階で考えられるのは南次郎には双子の兄か弟がいて、そいつがリョーガの本当の父親にしてスペイン代表の監督だとする説です。
これだったら今までの流れと特に矛盾せずに物語の整合性が取れますし、何よりスペイン側にも日本側にも「双子」が出てきているので、それが越前家にもフィードバックされているのではないかと。
南次郎の「血が繋がっていることに変わりはない」発言からもリョーガが南次郎と同じ越前家の血縁であることは明確ですし、また南次郎が一人っ子だとはどこにも言われていません
だから南次郎と生き別れた双子の兄か弟が何かしらの事情でリョーガを幼少期に南次郎の元に預け、家系の事情によってスペインに引っ越さざるを得なくなった感じかと思われます。

で、リョーガがなぜ日本に戻ってきてリョーマをアメリカ代表に誘い、リョーマの日本代表復帰と共にスペイン代表に向かったかというと、その生き別れの双子の監督の差し金ではないでしょうか。
すなわち、リョーガの実父は一端のテニス選手に育ったリョーマをどこかのタイミングでリョーガはスペイン代表として引き抜くことを計画していたと思われます。
しかし、全国大会決勝でリョーマが記憶喪失に陥りリョーガの記憶が欠落してしまったことで兄弟の絆が喪失してしまい、リョーマの帰国をリョーガは止められませんでした。
それを報告したところ、監督が南次郎の強さの秘密を探るようにリョーガに指示して、リョーガは躍起になって南次郎の秘密を探ろうとしたと考えればリョーガの意味不明な行動にも筋が通ります。

まあ単純に南次郎がスペイン代表監督でも良いのですが、それだと南次郎もリョーガも救いようのないクズになってしまうので、いくら許斐先生でもその路線はやらないでしょう。
狂気に走ることはあっても、なんだかんだキャラに対する責任はしっかり取るのが許斐先生なので救いようのないことをするような方ではないと思いますし、そういう時は大体何かしらの理由が考えられます。
だからラインハートが指摘した「チームを壊さないようにアメリカからスペインに移った」というのも間違いではないでしょうが、それがリョーガがスペインに移籍した真の理由ではないでしょう。
リョーガは自身の才能の呪いがあってもテニスを続けていた理由は全て弟・リョーマのためであり、リョーマと真剣勝負がしたいから敵として移籍したものと思われます。

おそらく新テニ終盤のメインで描きたかったものの1つはリョーマVSリョーガを通した越前家のドラマであり、劇場版で先行投資という形で描かれたリョーガを今度は先生自身の手で救済したいのでしょう。
そしてそれは越前リョーマが喪失してしまった最後の1ピースを埋めることに繋がり、その対決を乗り越えた時にこそリョーマとリョーガは真の兄弟となり得ると考えられます。
それも見越して先生は「リョーマ!」を3D劇場公開したわけであり、「テニスの王子様」はあくまでも越前家が根幹にあってこそなのだと思うのです。
最終的にはハッピーエンドに持っていくとは思うのですが、そう考えるとずっと越前リョーマの「陰」として描かれてきたリョーガが何とも切なく思えてきます。

リョーマよりも尖った目つきに顔立ち、オラついた性格の裏に垣間見える弟への惜しみなき愛とテニスへの情熱、そして真剣勝負に餓えていながらそれができない苦しみと痛さ。
表に出さないからこそ余計にリョーガの報われなさや救われなさ加減がたまらず、だからリョーマとリョーガを見ていると本当に少年時代の私と弟の関係性を見ているようなんですよね。
あんな厳しそうな顔の裏にどれだけの悲痛な思いを込めてテニスをしていたかを考えると、幸村以上にテニスで受難を経験してきたのがリョーガだと思います。
「真剣勝負やってんじゃねえか、チビ助」というフランス戦で呟いたあの一言の裏でリョーガはどれだけ弟のリョーマを羨んでいたことか?

南次郎に「テニス、楽しいか?」と問われ大事に育てられ、青学で素質を見出されて「青学の柱」となって天衣無縫の極みまで到達し、新テニでは平等院の「破壊」を「希望」に変えて日本を託されてきました。
一方でリョーガは対戦相手から恐れられ、さらにそのプレイスタイルを最も大切な弟から「卑怯なテニス」「倒す」とまで言われて、決して奥底は平静じゃないはずです。
果たして許斐先生が越前家のドラマをどういう形でテニスを通して決着をつけるか、今回リョーガと南次郎のショットと「監督の息子」という台詞からこれだけのことを考察しました。
遠山と仮面チビの因縁もさることながら、メダノレと徳川、ロミオと跡部様、不二とバンビエーリなど諸々の因縁以上に越前家の運命がどうなるのか?が私の心を捉えています。

ドイツ戦の幸村VS手塚がそうであったように、スペイン戦も最終的にはS2のリョーマVSリョーガが実質の最終決戦ではないでしょうか、物語的にも試合の内容としても。
まだなんともいえませんが、あれだけ盛り上げまくったドイツ戦に負けず劣らず濃い展開を放り込んできますね。


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