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「僕らの“飲食”が、ひとつのロールモデルになってほしい」 NOD代表・溝端友輔とHYPHEN TOKYOの関わり

地域と店舗の間に立ち、コーヒースタンドを展開するHYPHEN TOKYO。

OPEN NAKAMEGURO〔中目黒〕、000Cafe〔渋谷桜丘〕、SWITCH KOKUBUNJI〔国分寺〕の直営店運営の他にも、クライアント様の「やりたい!」に寄り添い、コーヒースタンドをきっかけとした場づくりのプロデュースやサポートも行っています。

HYPHEN TOKYOに携わる人たちのこれまでの軌跡や想いを聞く連載『HYPHEN TOKYO "BEHIND THE SCENES"』。今回はHYPHEN TOKYOでサポートさせていただいたGROWND nihonbashi の背景を探るべくインタビューを実施しました。

▼ HYPHEN TOKYOとは
コーヒースタンドを起点とした場づくり。
私たちは、人が往来する為に必要な機能はコーヒースタンドだと考えます。
その機能が内包された場は、つまりカフェ。
HYPHEN TOKYO ができることは、「統一感のあるチェーン店」のように、店舗設計や運営方法を一定のフォーマットで固めて、「個性豊かな個店」のように、そこに関わる人のアイデンティティで変化が生まれる仕組みをつくること。
幅広い世代や属性の方が集い、誰でも日常の一部として利用できて、個人・法人問わずPRや表現の場として活用されるカフェの新しい在り方。
そんな多様性を持った、ヒト / モノ / コト の個性が最大限に発揮できる場所を一つでも多くの地域に展開していくことで、そこにしかない価値を生み出していきます。

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GROWND nihonbashi
HOT SAND LAB mm

2020年12月、日本橋にて2年限定でオープンしたGROWND nihonbashi

130年という長い歴史を持つ江戸前鮨屋「蛇の市本店」の跡地に開店したGROWND nihonbashiをつくったのが、株式会社NOD代表・溝端友輔さんです。
※現在、蛇の市本店さんは近くに移転し営業されています。

「飲食を起点に、賑わいを創出してほしい」という思いのもと生まれたGROWNDは、1階にホットサンドショップ『HOT SAND LAB mm』、2階に『KAPOK KNOT』、3階に『和菓子屋 かんたんなゆめ 日本橋別邸』と、3つの“場”が集結しているのが特徴です。

『HYPHEN TOKYO "BEHIND THE SCENES"』第2弾の後編では、溝端さんとHYPHEN TOKYOとの出会いや、HYPHEN TOKYOがどのようGROWNDと関わって行ったのかを、溝端さんの視点から語っていただきました。

前編記事はこちら

「オーナーさんの想いを大切に守りたい」

「HYPHEN TOKYOの話を聞いたとき、なんていいビジネスモデルなのだと思いました」

GROWND nihonbashiを運営する株式会社NOD代表・溝端 友輔さんは、HYPHEN TOKYOとの出会いを振り返り、そう話してくださいました。

「場づくりに関わるなかで、オーナーさんにはやりたいことだけを考えてもらいたいと思っていたんです。オーナーさんの想いを大切に守った上で、店舗デザインや設備について考えるのが僕たちの仕事だ、と。店舗デザインや設備といった外側を担当するのが僕たちだとすると、メニューや研修といった内側を支えてくれるのがHYPHEN TOKYO。いいタイミングで出会えて嬉しかったです」

専門学校を卒業後、商業施設の設計施工の会社に入社した溝端さん。フリーランスを経て、2019年12月に、建築マネジメント・空間プロデュース・不動産コンサルティングの3軸を構えた株式会社NODを創業しました。

「オーナーさんには何をやりたいかだけを考えてもらいたい」という言葉から、住宅のリノベーションやインテリアのセレクト、地方の古民家の再生……と、さまざまな“場づくり”に関わった溝端さんなりの葛藤があったことが感じられました。

NODを設立したのも「建築の会社ではありながら、アウトプットが建築でなくても良い状態も作りたいと思っていて。“建築”という手段に限らず、クライアントにとって最適な解に向き合いたい。」と思ったからだそう。

自分が力になれる領域に限りがあると痛感していた溝端さんにとって、内側から“やりたいこと”を守る環境づくりをしているHYPHEN TOKYOは近い存在だったのかもしれません。

HYPHEN TOKYOのノウハウがあったからこそ、場づくりに専念できた

これまで溝端さんは、一定期間使い道が決まっていない“場”を持て余している不動産オーナーと交渉し、既存の枠組みにとらわれない短期間での場づくりをしてきました。

2019年10月には、立ち上げのサポートをした『ツカノマフードコート』が4ヶ月限定でオープン。その活動を見たオーナーから「2年間、飲食を起点に賑わいを創出してほしい」という依頼があり、GROWNDは生まれました。

溝端さんとHYPEHN TOKYOを運営する株式会社Yuinchu代表・小野さんとの出会いは、Twitterだったそう。

「もともと、僕のツイートに小野さんがたくさん“いいね”をくれていたんです。ツイートを読む限り、考え方も近そうだなと思って、Facebookで友達申請させてもらったんですよ。ちょうど緊急事態宣言(2020年)も落ち着いたので『こういう案件があるんですけど……』とGROWNDについて相談させてもらいました」

それまで交流はなかったというふたり。SNSを通して互いの考え方や価値観について触れられたからこそ一緒に取り組めたと話します。

「あくまで僕の経験上の話ですが……。飲食の事業を通しての目的が多様になっていると思います。“食事を作り提供する”だけでなく、“作った食事を通してどういう体験をしてほしいか”を考えている方はたくさんいるんです。それに、その“体験”に価値を感じる人も増えている。HYPHEN TOKYOは体験を届けるための基盤となる場をつくりながら、オーナーがやりたいことを形にできる流れを作っていますよね。とても素敵なビジネスモデルだと思いましたし、“コニュニケーションスポット”という言葉と、僕らの目指す形に近しいものがあると感じました」

HYPHEN TOKYOが目指しているのは、“コミュニケーションスポット”をつくること。以前、代表の小野正視さんがインタビューにて「コーヒースタンドという土台を活用した上で、何かをやれる空間を提供していきたい」とお話しされていましたが「オーナーがやりたいことを全力でサポートしたい」という気持ちは、溝端さんとも重なったのでしょう。

「NODが建築や飲食だけでなく、企画、PR、デザインなどの領域のプロフェッショナルを集めているのは、『ただ場所を作って終わり』ではなく、そこにいる人たちがいきいきと過ごせる環境をつくりたいからなんです。“場”や“空間”だけでなく、広報から運営などの領域をサポートする準備をしていることがNODの特徴だと思います」

HYPHEN TOKYOは飲食面と運営面でサポートに入ることに。飲食店に必要なのはどういうものか、どうすれば運営できるのか……といったことを、打ち合わせですり合わせながら決めていきました。

さまざまなコーヒースタンドやカフェの開業支援や運営を行なってきたHYPHEN TOKYOのノウハウがあったからこそ、GROWNDにいる人たちがいきいきと過ごせる環境をつくることに向き合えたと、溝端さんは振り返ります。

僕らの“飲食”の形が、ひとつのロールモデルになってほしい

「飲食を起点に賑わいを創出してほしい」という依頼をもとに生まれた、GROWND。

1階にある「おいしい」までの距離を縮めるホットサンドショップ『HOT SAND LAB mm』では、“日本全国の味をはさむホットサンド”を媒体に、地方の食材を使ったメニューを提供。2020年12月には日本橋コラボ『蛇の市の玉子サンド』と地方コラボ『梅ボーイズのサバサンド』が注目を集めました。

そんな“ホットサンド”というメニューも、HYPHEN TOKYOとの打ち合わせで決まったそう。

「“コミュニケーションスポット”という言葉にも通じますが……。つくった“場”から何かを伝えたり、発信できたりする場所になってほしいと思ったときに、コラボしやすいメニューがいいのでは、という話になって。サンドイッチやたい焼きも案にあったのですが、ホットサンドに決まりました。店内の飲食提供の収益に依存しない僕らの“飲食”の形が、ひとつのロールモデルになってほしいと考えているので、コラボしやすく、作りやすいホットサンドにしよう、と」

HYPHEN TOKYOが大切にしているのは「コミュニケーションスポットとして何を届けたいか」という、いわば根本の部分。溝端さんと思想が一致したからこそ、“ホットサンド”をひとつの手段として捉えながら、日本橋を盛り上げたり、地方と日本橋をつなげたりといった、“やりたいこと”を叶えられる仕組みづくりができたのです。

『HOT SAND LAB mm』のグラフィックにも、そんな気持ちが表されています。

「“mm(ミリメートル)”は、建築で普段使われる小さな単位なんです。小さな単位だけれど、エリア全体に影響するような“点”になりたいという気持ちをグラフィックに込めました」

“メモリ”と“街並み”。ふたつの意味を持つグラフィックから「GROWNDを起点に、日本橋を盛り上げたい」という想いが伝わります。

GROWNDは、2年後には幕を閉じることが決まっています。ですが「その場にいる人がいきいきとした場づくりをしたい」という気持ちは、この先何年も続く、大切なものになるのでしょう。

「2年間の営業になりますが、130年の歴史があるこの場所から、この先100年につながるようなきっかけをつくっていきたいです」

(取材・執筆:高城つかさ

◆HYPHEN TOKYOについてもっと知りたい方はこちら


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