白米くんの旅〜選ばれなくても選ばなくてもいい〜
ぼくは、はくまい。
おきにいりのおちゃわんをきて、
きょうはどんなひにしようかなってなやむのがすきだ。
まいあさきょうぼくは、よるにどんなぼくになりたいか、かんがえる。
でもきょうはどんなぼくになりたいか、おもいつかなかった。
だからぼくはひがえりのたびにでる。
みちをあるいていると、たまごさんにあった。
「あら〜ん。はくまいくんこんにちは〜ん」
こんにちはとえしゃくする。
たまごさんは、とてもおはだがつやつやのびじんさんで、
このせかいではとてももてもてのおねえさんだ。
「こんばんあたしとどうかしら・・・」
そんなもてもてのたまごさんから、よるのおさそいをうけてよろこばないおとこはいない。
だけどきょうのぼくは、どろどろととけあうきぶんにはなれなかった。
またこんどおさそいするよとやくそくして、ぼくはまたまっすぐなみちをあるきはじめた。
かわにたどりついたところで、うめぼしばあさんとあった。
「こんにちは〜はくまいくん。こんばんわたしとおちゃづけぶろなんかどうかえ?」
うめぼしばあさんは、ぼくといっしょにおちゃづけにつかりながら、いろんなことをおしえてくれるものしりばあさんだ。
いつもはよろこんでいっしょにおちゃづけになるけれど、
きょうは、びしゃびしゃになるきぶんじゃなかった。
このまえかりたほんをよみおわったらおさそいしますね、とことわって、
ぼくはいけをあとにした。
こんどはぼくがいつもやすむきりかぶのところでだれかがけんかしているこえがした。
きりかぶのところまでいくと、けんかをしていたのは、
ばたーさんと、しょうゆくんだった。
どうしました?とこえをかけると、
「きょうとまるところがきまってないのよ〜」
「ちょうど、はくまいくんにもたのんでみようかとおもっていたんだ」
とけんかのりゆうをおしえてくれた。
でもやっぱりきょうは、3にんでとろとろのぐしゃぐしゃ、
ばたーじょうゆごはんになりたいきぶんではなかった。
ぼくのしんせきのもちじいならきっと、
おいしいばたーじょうゆもちになりたいだろうとしょうかいして、
ぼくはきりかぶにすわった。
しばらくすわっていると、まえからだれかがあるいてくる。
それはたまごさんととりさんだった。
「さっきぶりね〜ん、はくまいくん」
「きょうはわたしたちと3にんでおやこどんはどうかしら」
と、さそってくれた。
とりさんは、たまごさんのしんせきで、とてもやさしいおばさんだ。
みりょくてきなおさそいだったけど
それでもやっぱり、きょうは
どろどろのぐっちゃぐっちゃにもなりたくないからおことわりした。
こんどたまねぎくんと4にんであそぼうよとはなすと、
たのしみ!またね!とふたりはいえにむかってあるいていった。
ぼくはふう〜といきをはいて、きりかぶからたちあがった。
きょうのなりたいぼくのこたえがわかったからだ。
きょうのぼくは、
どろどろにも
びしゃびしゃにも
とろとろのぐしゃぐしゃにも
どろどろのぐっちゃぐっちゃにもなりたくない。
ぼくはこのままのぼくでいる。
こんなぼくもわるくない。
いえにかえってぼくは、のりのおふとんにくるまってねた。
あしたはどんなぼくになろうかな。
あなたも、じぶんがどうなりたいかなやんだとき、
そのままのじぶんでもいいというせんたくしもあることをわすれないでいてね。
なにかになやんだときにふっとちからがぬけてくれるようなおはなしになっていたらうれしいです。
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