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絵本『てぶくろ』を語る 7

わたしの『てぶくろ』


今夏、図書館1階PAOの一角で、『てぶくろ』を展示しながら、感想を募集しました。学生の皆さん、あらためて2022年の今、この絵本を読んでみていかがでしたか?


この作品では手袋を「強者」である人間が与え、「弱者」であるネズミがその手袋の中で他の動物と協力して冬を越そうとする。全体として「共助」の美しさが描かれているようだが、ラストシーンで「弱者」は「強者」に勝てないという真実が浮かび上がる。まさに、現代社会の理想と現実が内包された作品だ。
( S.N.さん / 学校教育学部1年 )


一番印象に残っているのは最後の場面。空っぽの手袋が落ちているところで一気に不思議な世界からいつもの日常に戻ってきたような気持ちになる。昔から空想の世界が大好きな私は、不思議な出来事から戻ってきたときの少し寂しいような、安心したような空気が大好き。
( H.I.さん / 学校教育学部1年 )


登場するのはカエルやネズミ、イノシシなどだけれど、ぴょんぴょんガエルやくいしんぼネズミといった擬音語などが名前に入っている。しかも手袋の中に入ってくる動物の数が増えるにつれて、それぞれの名前を全部言っていくから、リズム感というかテンポを感じて楽しい気持ちになった。
( 松本 拓翔さん / 学校教育学部1年 )


ディズニー映画『トイ・ストーリー』を観ているような感覚だった。人形達は生きているけれど、そのことを人間に知られてはならない。『てぶくろ』の世界も、動物たちが服を着ていたり話したりするけれど、人間が戻ると一散に消えてしまう。動物にしか見えない世界を覗き見する、ちょっとした罪悪感が楽しい。
( 森 彩貴さん / 修士課程1年 )


『てぶくろ』を手に取ったのは小学生以来。大好きで何回も読み返していた記憶が残っている。他の絵本のような可愛らしさはなく、リアルに描かれているところがいい。冬の山の厳しい寒さと、動物たちの表情、毛並み、息遣いなど、細かいところまで感じることのできる作品だと思う。
( 吉 川 凜さん / 学校教育学部1年 )


一つの手袋の中にいろいろな個性を持った、種類の違う動物がいるので争いが起きそうなのに、喧嘩することもなく仲良く過ごしている姿に、いろいろな国に支配された過去をもつウクライナと重ね合わせ、いろんな人種の人々が争わず仲良く暮らせることを願う気持ちが表れているのではないかと思った。
( 茅原 和鈴さん / 学校教育学部1年 )


雪がかからないように屋根をつけたり、窓をつけたりして、手袋の中で快適に過ごそうと工夫する動物たちの様子が可愛いかった。手袋を探しにきたこいぬに吠えたてられた後、動物たちは逃げ出してしまうけれど、また新しい住処を見つけて、7匹一緒に仲良く過ごしている様子を想像してしまった。
( 髙田 英里香さん / 修士課程2年 )


動物が増える度に手袋が豪華になっていっていくところが好きだ。どんどん手袋がぎゅうぎゅうになって、もう入れないと言いながらも、煙突がついたり、窓がついたり、玄関が豪華になったりしているところを見ると、手袋の中が狭くなっても暮らしはどんどん楽しくなるのだろうなと思う。
( 藤原 あずみさん / 学校教育学部4年 )



目次

|1| 噛まない絵本
|2| 増築の手法
|3| てぶくろといぶくろ 
|4| 絵と言葉
|5| 作者ラチョフについて (準備中) 
|6| 子どもは絵本に何を求めるのでしょう (準備中) 
|7| わたしの『てぶくろ』 


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