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未来の乗り物を身近な移動手段にするために。海外と日本の「空飛ぶクルマ」産業をつなぐ中村康平の想い

こんにちは!HYOGO 空飛ぶクルマ研究室【HAAM】(以下、HAAM)です。

今回は、HAAMスタッフのプロフィールを現在、過去、未来から深堀りしてご紹介するインタビュー連載記事の第二弾。兼松株式会社の中村康平氏にお話を伺いました。

「HYOGO 空飛ぶクルマ研究室」についてはこちらの記事をご覧ください!

<現在>海外パートナーと「一緒に」空飛ぶクルマビジネスを展開

こんにちは。中村康平です。兼松株式会社で航空宇宙部に所属しています。

兼松は130年以上前に実は神戸で創業した兵庫県ゆかりの企業でもあります。国内外の製品の輸出入、サービスの提供、関連する事業投資等にとりくむ総合商社で、空飛ぶクルマに関しては2018年頃から検討を始め、海外企業との提携をベースにした、事業開発などに取組んできました。

海外で開発が進む航空サービス・ビジネスの支援をメインに仕事をしていて、最近力を入れているのは、Vertiportの日本展開です。

Vertiportとは、空飛ぶクルマ向けの離着陸、充電、ターミナル等の設備、地上安全管理・維持、利用客・貨物向けサービス等が組み合わされたインフラのことです。

空飛ぶクルマが飛び回る社会がやってきたときに円滑な交通システムが生まれるよう、機体運航会社、空飛ぶクルマメーカー、地権者、自治体、航空局など、さまざまな方とお話しながら、Vertiportの適地選定や設置・運営ビジネスを考えています。

この一環でイギリスの『Skyports』というベンチャー企業と資本業務提携しています。空飛ぶクルマの離発着場の運営事業をしている会社で、彼らのノウハウや経験、技術を生かしつつ、兼松の様々な機能を遣い、日本での空飛ぶクルマのネットワーク拡大に向けた取組みをSkyports社と進めています。

空飛ぶクルマビジネスを作る上で特に大切にしているのは、海外パートナーの代理店としての役割を果たすだけでなく、「一緒に」事業を作っていく気持ちで事業を展開することです。海外企業とのやりとりが多いので、英語でのメールやZoomは頻繁にあります。

このような知見から、私たちはHAAMに海外の空飛ぶクルマビジネスの情報提供や、官民連携についての知見を生かしたフィードバックを行っています。

航空業界の最先端をいく欧米ではどのようなビジネスが始まろうとしているのか?どういった社会実装に向けた動きがあるのか?など、HAAMに関わる皆さんの参考になれば嬉しいです。

<過去> 今の仕事は子どもの頃からの興味関心と専門知識が結びついている

兼松株式会社には、2008年に入社しました。道なき道を開拓してビジネスを作る商社に魅力を感じたからです。

入社してすぐに航空宇宙部に配属され、これまで10年以上、官公庁向けの飛行機やヘリの営業、エアライン向け旅客機営業の仕事を経て、現在は航空関係の新規事業開拓に携わっています。空飛ぶクルマも新規事業開拓の一つにあてはまります。

私は今でこそ毎日のように英語を使って仕事をしていますが、実は22歳くらいまで海外に行ったことはありませんでした。大学生のときに米サンフランシスコに1ヶ月半ほど留学したのが、海外思考になったきっかけです。

小さい頃は乗り物が大好きで、電車に乗る以外にも時刻表、飛行機のフライトスケジュールを夢中で見ていました。

また、BMXは学生時代に趣味として取組んでいました。当時参考にしていた海外のトップライダーの技術に惹かれたというのも「海外を参考にしながら日本で新しいことに取り組む」この仕事に繋がっていると思います。

もう一つ興味があったのは、環境問題についてです。「一度使われた資源でも、リニューアルすることでもう一度使うことができる」という循環型の社会に、漠然とした興味を中学生の頃から抱いていました。

エネルギーの効率化などについても興味があったので、大学ではエネルギー機械工学科に進学しました。振り返ってみると、今の仕事は自分の興味関心と専門知識が結びついた職業なのだなと感慨深い想いです。

<未来>「空飛ぶクルマ」のメリットをより多くの人に感じてもらいたい

今後は空飛ぶクルマの社会実装に合わせ、Vertiportを日本全国で設置し、空飛ぶクルマが交通手段として実装された社会の中で、運営ビジネスをしたいと考えています。

離発着場はどこでも良いというわけではなく、周辺の空域や大きさなど様々な条件をクリアする必要があります。交通の便を良くするという意味ではより便利な場所に、より多くのハブ的な場所を作り運営していきたいです。

また、空飛ぶクルマの利用価値がより高いエリアにも離発着場が必要と考えています。例えば、離島や山岳地域などのアクセスがしにくい場所だけでなく、直線的な移動距離は短いのに、時間距離がかかる場所も挙げられます。

たとえば大阪の中心地から兵庫県の北部(但馬)に移動するときは、直線的には1時間もあれば着く距離であるにもかかわらず、2〜3時間かかる場合があります。

このように時間短縮便益に効果を発揮し地域のアクセス性を大きく改善するルートも、空飛ぶクルマは有効なのではないかと考えています。

もう一つ解決したいと考えているのは「心理の壁」です。この心理の壁を乗り越えるには、空飛ぶクルマがもたらす価値をそれぞれの関係者に発信し、多くの人にとってメリットがあるものなのだと感じてもらうことが必要です。

空飛ぶクルマには、タクシーのようにスマホで簡単に呼ぶことができるくらい、身近な乗り物になってほしいと考えています。

旅行や出張に行く際に「電車で行くか?空飛ぶクルマを使うか?」と皆さんがパッと頭に思い浮かべるくらい、自然な交通手段になったらおもしろいですよね。

HAAMは「空飛ぶクルマについて学べる場所」としての価値だけでなく「大人と協働して学ぶ」価値も併せ持っているラボラトリーです。ぜひこの機会を「自分の経験値を高める場所」として使ってほしいと考えています。

モビリティの開発に必要不可欠なデジタルネイティブの視点が増えると、空飛ぶクルマ産業の発展がより一層加速します。

今の高校生〜大学生はデジタルネイティブのはじまりにあたる世代でもあり空飛ぶクルマが普及・拡大するころには社会人として重要な役割をになっているでしょう。

そういった次世代の社会を担う学生にとって、HAAMの活動を通した空飛ぶクルマの啓発活動が、航空業界に興味を持ってくれる学生を増やすきっかけになればと考えています。

HYOGO 空飛ぶクルマ研究室【HAAM】
SDGs思考で未来の空を構想するシンクタンクをコンセプトに、空飛ぶクルマの実用化が期待される2030年代に社会の中核を担うZ世代以降の若者【大学生・高校生】と共に観光・地域創生分野における具体的なビジネスモデルを考えるラボラトリー。大学生向けの空飛ぶゼミや高校生のSDGsへの関心を集める企画などを実施。
公式HP:https://hyogoaam.jp/

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