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君はなぜ羽を白に染め飛翔させたのか

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で少し触れた映画『異端の鳥』の感想をちょっとだけ書きたいと思う。

内容は戦争とホロコーストに迫る196分にも及ぶ作品となっており主人公は親と離れ離れになった孤独な少年。

最初は動物のように不幸を受け入れるだけの少年が少しずつそれを弾き返す感情を身につけていく姿が印象的でした。
ですがそれは同時に当初持っていた動物達への慈悲の気持ちや親に会いたい気持ちなどが失われている姿も印象的でした。
しかし、それが人間なのかなとも…。
ですがこの壮絶な映画の中にも小さな光みたいなモノは幾つか見えました。
優しい司祭や兵士達。たぶんそれが最後のシーンの窓にヨスカという自分の名前を書き嘗ては拒んだ親の気持ちに応えるシーンに繋がったのだなと。
そしてそれまた人間なのかなと。

人は優しくされるから優しくなる。
人は意地悪されるから意地悪をする。

まるで人類が味わってきた不幸を全て味わい人を殺すまでになった主人公でしたが別に味わった小さな優しさという温もりが主人公をまた優しい人間に成長させると願いたいです。

原題は「The Painted Bird」と作品のワンシーンから取ったであろう題名。
動物は見た目が違うだけですぐ迫害する。
しかし人間には言葉がある。
そう思わせてくれたラストシーン。
それを忘れがちな今の人類に問いかけをしているような作品でもありました。

壮絶で残酷な内容でしたが観てよかったです。

僕から個人へのおすすめはしづらいけど自らの意志で見てほしいと思えた映画でした。

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