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ちょっと上級の物理学(たまに数学)

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基本事項の解説はありません。検索しても簡単に答えが出ない問題を考えた記録。
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#数学

「ビリヤードπ計算機」の熱力学的解法

「ビリヤードπ計算機」の熱力学的解法

ビリヤードπ計算機とは、質量の異なる2つの玉を衝突させて、その衝突回数から円周率が求まるという力学的な装置のことである(私が勝手に命名)。
下図のように、水平面上に2つの玉M, m(それぞれ質量を$${M}$$, $${m}$$とし、$${M\ge m}$$)があり、玉Mを静止している玉mに向かって転がすと、玉Mの方が重いため、玉mは、玉Mと壁との間で衝突を繰り返す。

玉Mは、玉mに衝突される度

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記号論理学の思い出

記号論理学の思い出

これまでの人生を振り返って、我ながら爆発的に集中力を発揮した瞬間が3回ある。

1回目は、大学入試2次試験(2日間持続)
2回目は、大学学部時代の「記号論理学II」のレポート課題(1週間持続)
3回目は、博士論文提出締切前(1ヶ月間持続)

単に多忙というのとは違って、没頭して頭がフル回転した感覚。集中から解放された後、どっと疲れが押し寄せてきた(特に3回目の後はひどかった)。いずれもほぼ大学時代

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植物の葉序フィボナッチの件、自力で証明してみた

植物の葉序フィボナッチの件、自力で証明してみた

はじめに数学読み物でよくネタになるフィボナッチ数列というものがある。以下で定義される整数の数列である。

$${F_0=0, \quad F_1=1,\\ F_{n+2}=F_{n+1}+F_n\\\quad n=0,\,1,\,2,\cdots}$$

要は、$${n\ge 2}$$の任意の$${F_n}$$は、直前の2項の和で定義される数列で、

$${0,\,1,\,1,\,2,\,3,\,

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2つのボールをぶつけると円周率が分かる―論文を読まずに自力で計算してみた―

2つのボールをぶつけると円周率が分かる―論文を読まずに自力で計算してみた―

はじめに2003年に以下のような興味を引くタイトル の論文が出ている。

G. Galperin, 2003. Playing Pool with π (The Number π from
a Billiard Point of View). Regular and Chaotic Dynamics, 8(4): 375-394.

タイトルにあるpoolとはいわゆるビリヤードのことで(この記事を

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