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大人がハマる昆虫研究

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40になって知ったディープな昆虫の世界。身近な環境も、視点次第で宝の山に。
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#昆虫写真

湿岩性甲虫探し―ニッポンセスジダルマガムシ―

湿岩性甲虫探し―ニッポンセスジダルマガムシ―

はじめにニッポンセスジダルマガムシOchthebius nipponicusという水生甲虫がいる。トップ画像に示したようにカッコイイ形態をしているが、体長が1.5 mmほどしかない微小種である。前回紹介したクロサワツブミズムシとコマルシジミガムシと同様に、湧水が薄く広がって流下する崖の壁面に生息する湿岩性の甲虫である。

前2種と違って、ニッポンセスジダルマガムシは主に海岸沿いの崖に生息するという

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微小甲虫の楽園としての「芝生の裏側」―チビミズギワゴミムシとコケシマグソコガネ―

微小甲虫の楽園としての「芝生の裏側」―チビミズギワゴミムシとコケシマグソコガネ―

はじめに私が現在居住する賃貸住宅の庭には5 $${\text{m}^2}$$ほどの小さな芝生がある(下写真)。

いくら虫屋でも、こんなつまらなそうな場所でわざわざしゃがみ込んで虫を探そうという発想にはなかなか至らないものであるが、たまたま妻に頼まれた作業を玄関前で行っていたのがきっかけで、この芝生にチビミズギワゴミムシとコケシマグソコガネが生息しているのを発見した。いずれの種も、こんな身近過ぎる

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アリヅカコオロギは木に登る

アリヅカコオロギは木に登る

タイトルの通りで、だから何?という話かもしれないが、本当に木に登るのである。個人的にちょっとした発見だったので紹介する。アリヅカコオロギ類Myrmecophilus sp.という虫がいる。バッタ目に属するが、体長はわずか3 mmほどで翅もなく、珍奇な形態をしている(トップ画像参照)。この虫はアリの巣の中に生息し、アリから餌をかすめ取って生活することで知られている。この虫を含む好蟻性昆虫については、

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オリンパスのコンデジTGシリーズの写真に映り込む円形ゴーストを画像処理で消す技

オリンパスのコンデジTGシリーズの写真に映り込む円形ゴーストを画像処理で消す技

昆虫の生態や標本の手軽なマクロ撮影に,顕微鏡モードを搭載したオリンパスのTGシリーズのコンパクトデジタルカメラを使用している方は多いだろう。TGシリーズは,顕微鏡モードに深度合成機能も併用することで,体長数ミリの小さな昆虫でも手軽に鮮明な拡大写真が得られるので大変便利なのだが,高倍率で撮影すると,画像中心に青味がかった円形のゴーストが映り込みやすい欠点がある。自分はTG-5を使用しているが,特に,

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