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大人がハマる昆虫研究

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40になって知ったディープな昆虫の世界。身近な環境も、視点次第で宝の山に。
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#ミノガ

アキノヒメミノガ―身近なミノムシの謎の多い生態―

アキノヒメミノガ―身近なミノムシの謎の多い生態―

はじめにアキノヒメミノガ Bacotia sakabei Seino, 1981という虫がいる。ミノガ科(いわゆるミノムシ類)に属する小型で焦げ茶色の地味な蛾である。ミノムシ類は、幼虫が植物質の材料を綴り合せて作ったポータブルケース(ミノ)を背負って暮らす生態で広く知られている。また、下手に自然度の高い所よりも、人間の居住環境近くの方が多く見られるため、蛾類の中では特に身近な仲間である。その中で、

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大人がハマる昆虫研究

大人がハマる昆虫研究

虫との邂逅小学生の頃はカブトムシやクワガタを採ってきて飼育を楽しむ程度の昆虫少年だったが、中学生以降、興味の対象は他のものに変遷。大人になってからは、灯火に大型の甲虫が集まっているのを目にしても何の感慨も湧かないほど虫への関心は完全に忘れていたが、息子がきっかけで、再び「虫屋」になった。それも、昔よりも遥かに深いレベルで。

2016年の夏、上の子が6歳のとき、義父(元昆虫生化学者)が昔作った見事

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