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スクーターに乗るおばあさんに助けられた話 in バンコク

2019年夏旅6日目、タイ最終日、夜ソウルに向けて出国する前に、日帰りでアユタヤ遺跡を見に行くことにした。

<この日(6日目)の予定>
1. バンコク:フアランポーン駅-(国鉄)-アユタヤ駅 ★アユタヤ観光
2. アユタヤ駅-(国鉄)-バンスー駅
3.バンスー駅-(MRT Blue Line)-スクンビット駅
 ★荷物を取りにホステルへ
4.アソーク駅ー(ARL Line)ースワンナプーム国際空港_ソウル行き

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歴史あるフアランポーン駅の一枚、きれいでしょ?2021年11月にはターミナル駅の機能がバンスーに移転するとか

フアランポーン駅からアユタヤに向かう国鉄の3等車内、僕と同じアラフォー一人旅男性と出会い意気投合した。自転車で彼と途中までアユタヤ遺跡を巡ったところで別れ、僕は帰国前トランジット先であるソウルに飛ぶため、一人アユタヤ駅に戻る。

空港前に荷物を取りにホステルに戻る必要があった僕は、余裕をもって早めの列車を予約していた。しかしその列車は約1時間半の遅れでアユタヤに到着する。(これは想定内)

ここでややこしいのは、自分が予約した列車は遅れているが、その後の電車は定刻で来ていたりする。しかしそれにはチケットが違うので乗れないとのこと。
間に合うかな?多少の焦りを感じながらバンコクに向かう。

バンコク市内に近づくにつれ、停車の多さとノロノロ運転が焦りを生む。
そこでどうにかできないか?僕はGoogle Mapを見ていると、あるショートカットを思いついた。
ノロノロ国鉄を途中のバンスー駅で降り、MRT Blue Lineに乗り換えたほうが早いのではないか!?

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これなら空港にも遅れず行けそう!
乗り換えを決断した。

Google Mapは近代の旅をより簡単にしてくれる最強ツールだ。

外は土砂降りで様子は分からない、アナウンスのタイ語は理解できない。それでも僕にはGoogle Mapがある♪
”すべて状況はMapのGPSを見ればわかるのさ♪”
僕は過信にも似た余裕を醸し出し、自分たちの列車が目的バンス―駅の前の駅を出発したことをMapで確認した僕はドアの前に立った。

走り出して数分、相変わらず土砂降りのスコールの中、列車がブレーキをかけ停車する。そしてドア横のボタンのランプが点灯した。
”今だ”
ボタンをグッと押すとドアが開く
土砂降りの中勢いよくプラットフォーム?に降りる?
ん?低いな
 
「ありゃ、ここプラットフォーム・・・か?」

違った。。
異変に気づき振り返ると列車のドアは閉まり、そしてゆっくりと僕一人を残してバンコク市内に向けて再び走り出して行った。

※実際に降り立った場所はこんなとこ↓ 遠い奥に見えるのが建設中の新バンコクターミナル駅

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呆然とした。状況が掴めない。だって線路の上に降りてしまったのだ
「ここは駅?駅なんてGoogle Mapに書いて無かったよね!」
今更Googleに文句を言っても無意味

見渡すと、どうやらここは国鉄の車輌基地だということが理解できた。
おそらく乗客ではなく、職員の乗せ降ろしのために停まったんだろう。

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30m程先を見ると作業員のようなおじさん二人が小屋の中からこっちを見てクスクス笑っている。

そんなことはどうでもいい!とにかくホステル、空港に行かなきゃ!
頼りのGoogle Mapを開くとバンスー駅までは約2kmとなっている
「No Choice! よし走ろう!」
一度決断するがスコールで20cmほど冠水した道路を見ると10m先に行くことすらビビッてしまった。

「あかん、走るどころか歩けんし、間に合わん!」
途方に暮れ10mの歩ける範囲をウロウロしていると、30m先の民家から70歳台であろう女性がカッパを着て出てくる。
そしてスクーターに跨ると、冠水した道路に自らの足を浸しながら、ノロノロ僕のもとへやってくる
「め、女神様が助けに来てくれた!」
心底そう思った。

このあと殆ど言葉は必要なかった。
その方は僕がどういう状況にあってどこかに行こうとしていることをすでに察しているようだった
「MRTバンス―駅までお願いします!」
それだけ言って、僕は女神号の後部座席に跨った

※写真はイメージですがこんな感じ

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水をかき分けかっ飛ぶ女神ライダーの背中につかまること5分、あっという間にMRTバンス―駅に到着。
お互いびしょ濡れ(^^ゞ

僕はせめて最低限のお礼と思い、持っているお金を差し出した。
しかし、その女性は
「いいってことよ」(多分タイ語でそういうこと言ってたハズ?)
と僕を諭し、微笑みと共に去っていった。
なんてカッコイイんだ!

こんなに幸せな体験はない。
冷房の効いたMRT車内でびしょ濡れの身体
ブルブル震えながらも心はポカポカしてた

次にタイに行くときはまたあの場所に戻り、あの女神に会ってお礼を言いたいと思う。


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