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ひゃくま
2022年9月21日 00:42
「キル」 読んでいた新聞から目線を上げて対面を見る。 対面にいるのは幼い見た目でありながら絶世と言って過言ではない美貌を備えた少女ーーキルだ。 名前を呼ばれたキルは飲んでいた牛乳を置いて、それから首を傾げた。 「……相変わらず旨そうに飲むよな、お前」 「……牛乳美味しいから……」 キルはいつもと変わらぬ虚な目で、しかし楽しそうに答えた。 こんなやりとりもすっかりいつものもの。 「
2022年9月30日 17:34
「げ」 「開口一番『げ』とはなんだ」 扉を開けて中に入ると見知った顔があったので思わず反応してしまった。 見知った相手ーー女性医師のヴェルニア・セラリタは呆れたようにわざとらしく大袈裟に溜め息を吐く。 「相変わらず失礼な男だな」 「なんでアンタがいるんだよ」 「今年の担当医も私だからだ」 後ろ手に扉を閉めると、対面の簡素な椅子に座るよう促された。 抵抗することも考えたがここにきて
2022年9月15日 12:35
「人が揃えられなくて申し訳ないけど、一応ミーティングしようか、南さん」 テーブルを挟んで目の前に座った私の憧れの先輩――風島清景は気軽そうにそう言った。 対する私は、風島さんと二人だということに若干の緊張を感じながら、注文しておいたカフェラテで喉を潤してから「はい」とだけ返事をした。 私、南綾(みなみ あや)はとある三人組のバンドのベーシストをしている。 つい数か月前に大学生になったば
2022年9月7日 23:39
その日はなんだか眠れなかった。 いつもと変わらぬ時間に床に着いたものの目が妙に冴えてしまった。 仕方なしに起き上がってはみたものの何かをやろうという気にはなれず、街の灯りが仄かに差し込む暗い自室の椅子に座って、ただただぼうっと過ごしていた。 明日もいつも通り学校があるので早く眠りに着いた方がいいことはよく分かっているが、窓の外の暗い街並みを眺めないというのも勿体無いような気分だ。 音楽を