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#59 百鬼堂農園(11) 孫と農耕馬

 最近は米津玄師「さよーならまたいつか!」を聴きながら畑仕事をすることが多い。朝ドラ「虎に翼」は毎日欠かさず見ています。

 農具運搬問題の続き。原付を導入することで解決しようと思ったが、どうも買う気になれず。それなら大量の荷物が積める自転車はあるだろうか、とネットで検索してみた。農作業に適しているかはともかく、たくさんの荷物を運ぶという需要はあるはず。

 ありました。安定性に優れ、頑丈で、前にも後ろにも荷物が載せられる。そして電動アシストで、重い荷物運びを強力にサポートする自転車。やはり需要はあるのだ。ただ、スポーツバイク乗りとしては、見た目はカッコ悪いと思ってしまう。

 でも背に腹は変えられない。妻に相談したところ、妻も買い物などに役立つであろう電動アシスト自転車に興味があったとのことで、反対ではなさそうだ。女性にも乗りやすい、小径で足つきの良いタイプが選択肢にあがった。電動アシストのバッテリー性能で、値段も変わってくるようだ。なお妻も私も、電動アシストつき自転車には今まで乗ったことがない。

 当たりをつけて、行きつけのスポーツバイク専門店ではなく、自転車量販店へ。おお、これはなんだかカッコ悪い。重い、ゴツい。だが頼りにはなりそう。ロードバイクは機能美と洗練の極致といってよいが、それにくらべこの運搬専用車はなんという武骨さだろう。

 試乗させてもらったところ、その力強さと安定性は、我が農園への多大な貢献を予感させた。アシストのなんと力強いことか。車体の重さにもかかわらず、軽やかに乗れる感じがたまらない。その運搬に特化した性能を思い知れば、カッコ悪いのではなく、武骨で質実剛健、と言い換えられないこともない。頼りがいのある不細工さとでも言おうか。

 乗っているときはとても軽く感じるが、車体重量は30キロ近くあり、ロードバイクの3倍以上となるため、取り回しがいいとは言えない。だが、世の中にこれほど電動アシスト車が出回っているのだから、慣れの問題だろう。自転車チャイルドシートに幼い子を乗せているママパパは、電動アシストでこんなパワフルな恩恵をこうむっていたのかと思い知る。これ買います、といつの間にか店員に告げていた。

 アホみたいにでかい前かごをつけた。重い農具が入ったリュックも、前かごだけで運べる。後ろの荷台に肥料や腐葉土の袋を複数積んでも大丈夫だろう。その日のうちに納車となり、およそ鍛造備中鍬100本分の出費になった。結構な出費だが、当初案の原付に比べると半分ほどの値段ですんだ。

 掲載時点で購入から1週間が経過しようとしているが、この自転車は素晴らしい。実際に重いものを積んでも安定性が非常に優れており、農園への往復が格段に楽になった。ほとんどバイクと変わらないのではないか。原付やめておいてよかった。

 ロードバイクがサラブレッドだとすれば、電動アシスト運搬自転車は、忠実で頼もしい農耕馬のようだ。ここに、皐月号と名付け、我が農園の新たな力としたい。

 いや違うな、農耕1号と名付けよう。どこぞのミサイルみたいではあるが、ご容赦願いたい。

 農耕1号よ、ともに頑張っていこう。お前はカッコいいぞ。

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